恋人ぷれい
はじめてづくしのエトセトラ

(2/19)

その全てを統括すると、ただ壱人が好きだということに行き当たり、壱人とならセックスをしてもいいという、思春期ならではの好奇心も伴った感情に直結する。
だからって、本当は流されている場合じゃなくて、やる前にちゃんと確認しとかなきゃいけないんだけど。

「…んっ、んんっ」

なのに、壱人に翻弄された俺は、快楽をその体に教え込まれるようにただ執拗に与えられて、恥ずかしい吐息を漏らして喘ぐことしかできないでいる。

「…あ、ひっ」

やがて、胸の中心の突起を人差し指の爪の先で軽く引っ掻かれて、とうとう小さく声を上げてしまった。



「泉。乳首感じるんだ」
「…あ、んんっっ」

んなこと、俺も今、初めて知ったっつの。

乳首を誰かに弄られるのは、初めての経験だ。
もちろん自分で弄ったことだってない。

他にも言わせてもらえば、誰かと両思いになることも初めてだし、キスも、それからこうやって誰かと抱き合うことだって初めての経験だ。

今までに何人もの彼女がいた壱人とは違って、俺にとっては、今、自分の身に起こっていること全てが初めのことだ。

そう思ったら、少し、壱人の歴代の彼女たちに嫉妬心も沸いたけど、それ以上に、壱人に感じる男としての羨望感に少し戸惑った。



「ちょ、壱人。ほんと少しだけ待てって」

手の力が僅かに緩んだ瞬間を見計らって、ようやくそう言うことができた。
当然のように壱人が待ってくれるはずもなく、すぐに再び口を壱人の唇で塞がれる。

「…んんっっ」

悔しいことに愛撫だけじゃなく、壱人はキスだって当然のように上手かった。
キスも初めての俺が気持ちいいって感じるんだから、その実力は相当なものなんだろう。

これには壱人に感じる羨望感はまるでなくて、ただただ壱人の歴代の元カノたちが羨ましかった。
壱人の唇も舌も全てがとろけるように熱くて、強く舌先を吸われるだけで堪らなく感じてしまう。

「泉。腰揺れてる」
「…ひっ!」

脳内深くまで犯されている感覚のなか、いきなり壱人が俺のをぎゅっと鷲掴んだ。
ズボン越しだとは言っても強すぎるその刺激に、そんな情けない声を上げてしまう。



やばいやばいやばい。

もう心が乙女って言うか、どうにでもしてって、色気のない言葉で言うと、そんな投げやりな気持ちになってきた。

「…泉。いいか?」

もしかして、このまま壱人と最後までやってしまうんだろうか。
その前に、どうしてもこれだけは確認しておかなきゃ。

そうは思いつつも、壱人から与えられる無償の快楽に、今にも流されてしまいそうになる。


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