恋人ぷれい
何度も何度もキスをして

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息を詰め、泉からの返事を待つ。
どうやら泉は考え込んでいるようで、俺と目が合った瞬間、ふいと目を逸らした。

このままの流れに乗るように、中断しないで最後まで持ち込むこともできるけど、どう考えても泉は初めてだろうし、無理矢理やってしまうことだけはできれば避けたい。

嫌だと言われても止まらなそうだけど……、泉は絶対、俺のことを拒否しないという根拠のない自信があった。
カタカタと小さく俺の下で震えてたのは最初だけで、泉の腕は今や俺の背中にしっかり回っている。

「あのさ」
「ん?」

覚悟を決めたらしい泉がようやく口を開いた。



少し困ったような照れたような、それでいて不安も抱えているような表情(顔)で、

「その……、もしかして俺が犯られんの?」

泉はそんなことを聞いてきた。


一瞬、なんのことかわからなかった俺は固まって、

「……は?」

一息入れて、ようやくそんな情けない声を漏らす。


そうか。よくよく考えたら泉も普通に男だし、セックスすると言っても、泉は、童貞を捨てることしか考えてなかったんだろう。

ここに来て、泉も俺と同じ男だったことを今更ながらに自覚した。
かと言って、泉が欲しい、泉を抱きたい気持ちに変わりはないんだけれど。


ずっとずっと泉が好きで、今までの彼女とやってる最中も泉のことが頭から離れなかった。
今、自分が抱いているのは泉だって、泉の中に入っている自分を想像していた。

男同士は、どうしても役割分担が必要になるけど、泉に抱かれている自分は想像できなかった。
長年の夢もあるし、泉には悪いけど男役だけは譲れない。


「あ、と。えーと……」

泉は自分に覆いかぶさって自分を見下ろしてる俺の顔を見ないで、不安げな声を漏らす。
視線をどこかよそに泳がせているのは泉が悩んでいたり迷っていたりする時の癖で、そんな泉の気持ちもわかるけど。

「なに。泉。挿れたいの?」

そう聞いてみれば、再び泉の体が小さく跳ねた。
擬音にすれば、びくりとかぎくり。
そんな感じ。


泉には悪いけど、これだけはどうしても譲れない。

「俺は挿れたい」

迷っている泉に釘を刺すようにそう強く主張すれば、

「…初めてなんだから絶対に痛くすんなよ」

どうやら覚悟を決めたらしい泉は、健気にも引き攣った笑顔を見せた。


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