恋人ぷれい
何度も何度もキスをして

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何度も何度も熱いキスを交わしても、きつくきつく抱きしめてもまだ足りない。

「…んっ、んふぅっ」

子供の頃からずっと夢見ていた。
いつかこうやって泉に触れることを。

『泉、好きだ』
『…だって壱人、彼女いるじゃん』

そう言えば、泉の口から俺をどう思っているのかを聞いてない。
それでも、こうやっていても嫌がるそぶりは見せないし、泉の腕はしっかり俺の背中に回されている。

「…も、無理っ」
「もうちょっと」

息苦しさからか離された泉の唇を再び塞いだ。
泉はキスも初めてなんだろう。

不慣れな感じがなんとも言えず愛しくて、何度も繰り返し唇を重ねる。

最初は、小鳥が餌を啄むように軽く合わせていたキスも、今は、ねっとりと絡み付くような熱いものに変わっている。
一度、離れて泉の少しぽってりとした唇を軽く舐めてみたら、泉の唇が微かに開いた。



「もっと?」
「…んっ、はふっ」

息も絶え絶えに泉はただ流されているだけで、もっとと更なるキスをねだっているのは俺の方だ。
それでも僅かに唇を離してそう聞いてみると、泉の手が俺のシャツをぎゅっと掴んだ。

抱きしめた泉の体は驚くほどに熱くて、子供の頃を思い出した。
子供体温そのままに、甘い吐息が堪らない。



どうしてこうなったんだっけ。
そんな風に冷静になって考えてみる。

泉に貸した赤い傘。
それを返してもらいに来ただけだった。

けど、泉はあっさりその傘を俺に手渡してくるし、返されてしまったらもう、この部屋に俺がいる理由がない。

『ああっ、もうっ……』

だから暴走してしまった。
おまけに、お誂(あつら)え向きなベッド。
その上にぺたんと座った無防備な泉。

据え膳食わぬとはまさにこのことだ。
俺には、きょとんとこちらを見ていた泉が食ってくれとでも言っているように思えて。



『ちょ、壱人?!』
『しっ。黙って』

本来ならきちんと泉の気持ちを確かめてからのが筋なんだろうけど、暴走し始めた俺の暴走本能は、もう歯止めが効かなかった。
抵抗せずに背中に回された腕を泉からのOKの返事だと解釈した俺は、泉をきつく抱きしめたままでベッドへと押し倒し、上着に手を掛ける。

「…ひゃっ!」

どうやら極度の緊張感からか俺の手は酷く冷たかったようで、腹を撫でた瞬間、泉は小さく跳ねた。
俺の手が冷たすぎるからか直(じか)に触った泉の体は焼けるように熱くて、抱きしめる力を緩めず、そのまま手を進める。


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