幼なじみプレイ
幼なじみプレイ

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デパートを出て三人で街をぶらついていると、有名なファッション雑誌の街角スナップとかいうコーナーの撮影に巻き込まれるし。
それもこれも未だににやついている壱人のせいなのに、なぜだか嫌な気分にはならなかった。


なんと言うのかな。
三人で歩いていると、絶対、壱人と結木さんが恋人同士に見られていると思ってたんだけど。

壱人を撮りたいと言ってたお姉さんが、

「彼女も一緒にお願いできるかな」

俺の方を見てそう言った。

「俺?!」

思わずそう聞き返しそうになり、慌てて口をつぐむ。
それに対して壱人と結木さんは手放しで喜んでるし、またまたお姉さんの手から逃れるのに苦労した。

なんて言うのか、俺も女の子の格好で出歩くのも板についてきたんだろうか。
まるで人ごとのようにそんなことを思いながら、三人で街をぶらついた。

途中、壱人に電話が掛かってきて、

「水上たちからカラオケ誘われたけど行くか?」

もちろん俺が行けるはずはなく、そんなハプニングもありつつ。

結局、壱人は途中でいったん俺たちから離れて、水上たちのところへ行ってしまった。


時刻はそろそろ夕刻に差し掛かろうかという頃で、さすがにこの時間になると少しだけ肌寒くなってきた。

キャミソールタイプのワンピースの上に羽織っているのは薄手のカーディガン一枚だけで、なのに、こんなに薄いくせに思い掛けず暖かくて驚いた。
機能性と実用性も備えた女の子のファッションに感心しながら、結木さんと二人で、壱人には内緒の場所(聖地)へと向かう。

「なんかワクワクするね」
「ははっ。うん」

つくづく俺と結木さんって不思議な関係だと思う。
表向きは最近、急接近したクラスメートで、実際は壱人の元カノと現在の恋人とか。

それから今日、気付いたことだけど、親友とまではいかないながら結木さんと俺って仲のいい友達同士でもあるんだと思う。
壱人に内緒の話とはいわゆるベーコンレタスなお話で、俺たちは今、結木さんの行きつけのBL喫茶に向かっていたりする。

ガタゴトと電車に揺られ、あと二駅と少しで秋葉原。
車窓から見える景色がごちゃついて来るのを感じながら、俺は窓の外に見入った。

正確には、窓に映った女の子のコスプレをした自分に。

Bkm

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