幼なじみプレイ
夏祭り

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何と言うか、どっかで息抜きでもしたいんだけどな。

「あ」
「ん、どした?」

そう言えば今夜……。

不意に、賑やかで華やかな夏の行事があることを思い出した。


「なあ、壱人。今夜、祭りに行かねえ?」
「祭り?」
「うん。今夜さ。花火大会があるじゃん」

花火大会といっても町で開催しているこじんまりとしたものだ。
それでも毎年、それなりの人が町内外から花火見物にやって来る。

「人込みだったら二人でいても違和感ないだろうし、もしなんだったら女の子をナンパするふりだけでもしてたらいいし」

そう提案してみたらナンパの件だけは却下されたけど、壱人と二人で出掛けることになった。


花火大会かあ……、久しぶりだな。

いつだったっけか、確か小学生低学年の頃にお互いの家族と一緒に出掛けたきりの気がする。
壱人は毎年、彼女と一緒に見に行ってただろうけど。

花火大会なんていうものは男二人で行くもんじゃないし、男友達、何人かで行くとしても、ナンパ目的で出会いを求めて行くだけだ。
彼女もいないし、ナンパにも興味がなかった俺は、お互いの家族と行ったそれが最後に会場で見た花火だった。

いつもは二階のベランダから眺めていたけど、たまには出掛けるのもいい息抜きになる。
子供の頃のように出店を回るのも楽しいだろうし、そう考えたら今夜が楽しみになってきた。

「と、言うことでこれからおまえの部屋、行っていい?」

そう言ってくる壱人の一言で、今朝の約束を思い出した。


「ごめん。なんか姉ちゃんが用事があるらしくてさ。早く帰ってくるように今朝、言われたんだ」

それは学校に行こうとした時のことで、突然、姉ちゃんに呼び止められた。
ニコニコ笑顔で用があるって言われたんだけど、実は一抹の不安も感じていたりして。

姉ちゃんがあの不吉な笑顔を俺に向けてくる時は、たいてい良からぬことを考えている時だ。

もしかして。
もしかしなくても、また何かやらかそうとか考えてるんじゃ……。

伊達に十何年も姉ちゃんと姉弟をやってるわけじゃなく、姉ちゃんの思考パターンはある程度、想像ができる。
姉ちゃんには壱人の件について助けてもらったし、できるだけ期待に応えてもやりたいけどさ。


「泉、おかえりー。と、言うことでここに座って」

(……やっぱり)

家に帰った早々、嫌な予感は的中。
姉ちゃんに逆らえない俺は、大人しく言われた場所に座った。

Bkm

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