幼なじみプレイ
夏祭り

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学校から家に戻る途中の真っすぐで緩い下り坂を俺たちは、並んでのんびりと行く。
結局、今年の夏の思い出も学校と補習に塗り潰されてしまった。

「どうだった?」
「……うーん、微妙?」
「なんで疑問形なんだよ」

そう言って笑う壱人もおそらくは俺と同じようなもんで、明日、返ってくる答案で合格するようなことはまずないだろう。
毎日、学校に足しげく通い、俺たちが受けているのは追試のようなものだ。

授業日数が足りない補習とは違い、壊滅的な成績で受ける補習は毎日、配られるプリントで合格点を取った瞬間に終わる。
普通なら数日で終わってしまうのに、おバカな俺たちの補習はなかなか終わらない。

毎回、あれやこれやと手を変えてプリントを作り、毎日、俺らに付き合ってくれる先生に感謝。
感謝のついでに合格点も欲しいところだけど、なかなかそうはいかないらしい。

「まあいいか。明日は土曜日だし」

そう言う壱人の言葉に『うんうん』とうなずきながら、惰性で上がり気味の歩くスピードを落とした。


あれから一週間が過ぎ、壱人はめでたく彼女と別れた。
それからの壱人は誰とも付き合うこともなく、実はこっそりと付き合い始めた俺たち。

けど、付き合うといっても普通のカップルのように手を繋いだり、学校でしょっちゅう一緒にいるわけにはいかない。
だからお互いの部屋を行き来してあれこれやってるんだけど、そのたびに盛ってくることだけはやめて欲しい。

「なあ。明日どっか行かね?」
「どこへ?」
「あー、えーと……」

閉め切った部屋じゃなきゃどこでもいいんだけどな。

結局、男二人で出掛けて不自然じゃない場所が思い浮かばなくて、

「明日は朝から泉の部屋に行くから」

――覚悟しとけよ。

そんな男前なことを言われて、俺はがくっと肩を落とした。


どうでもいいけど俺たちは、初めてお互いの気持ちを知った日に、そのまま一線を越えてしまった。
手の早い壱人に押し切られる感じだったけど、別にそれが嫌だったわけじゃない。

ただ、部屋の外でも壱人と一緒にいたいだけだ。
毎日毎日、同じ場所では飽きもする。

Bkm

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