幼なじみプレイ
涙と猫と赤い傘

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結局、今日もいつものように散々な一日で、憂鬱な気分で家に帰った。
橋本は傘を持っていなかったので、校門前のバス停まで送ってやった。

そんな帰り道、前方に壱人と彼女の姿を見つけた。
二人は壱人の傘を差しているようで、いつものように壱人の半身は雨に濡れていた。

「泉、どうした?」
「……あ、ううん。なんでもない」

それがなんでもない顔かよと橋本に言われたということは、全く自覚はないけど酷い顔をしていたんだろう。
何度となく橋本から話し掛けられたけど、橋本の話は一つも頭に入って来なかった。


『そう簡単に諦められるわけないじゃん』

橋本の例の一言が胸を締めつける。
どんなに壱人を頭の中から追い払おうとしても、壱人のことは頭から離れない。

家に帰り着いてからもぼんやりしている俺を心配してか、姉ちゃんが相談に乗ってくれると言ってくれた。
だけど、俺はまだ自分の気持ちにさえ整理がついていない状態なわけで、こんな状態では相談らしい相談ができるはずもない。

「ありがと、姉ちゃん。大丈夫だから」

多分ねと笑ってみせたら、

「ばか」

と、頭を小突かれた。

「ねえ、泉。姉ちゃんはいつでもあんたの味方だからね」

そう言って姉ちゃんは俺をぎゅっと抱きしめてくれて、不覚にもちょっとだけ泣いてしまった。


考えてみれば、俺は本当に周りに恵まれていると思う。
こうやって心配してくれる優しい姉ちゃんに、俺を心配してメールをくれる友達もいる。

姉ちゃんが出てった後のベッドに仰向いて寝転がり、両腕で顔を覆った。
ともすれば流れ落ちそうになる涙をぐっと堪えて、唇を噛む。

Bkm

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