幼なじみプレイ
可愛いとか言うな!

[9/12]
「おやすみ」
「ああ、おやすみ」

なとなくお互いに照れ臭いまま食事を終え、風呂に入って自室に戻った。
どうやら母さんは当時、仲が良かった4人でクラス会の会場となったホテルのスイートルームに宿泊するらしく、その日は帰って来ることはなかった。

壱人は俺の母さんが留守なのを自分の母親、つまりはおばさんから聞いたらしく、その夜は俺の部屋に来ることはなかった。

「それにしても……」

見事に当たりくじを引いてしまった自分を思い出し、思わず苦笑う。

「んー…」

まあ、俺が出場したところで参加賞が関の山で、別に気にすることはないんだけど。
結木さんの男装と村上の女装を思うと、頬がだらし無く緩んだ。

どちらも想像しやすい美形だけど、その姿で二人でいても違和感はないんじゃないかな。
いかんせん村上の方がちょっとだけ背が高いけど、結木さんも女子の中では長身の方だ。

「裏ミスコン、か」

つまりは女装コンテスト。
一抹の不安を感じないでもないけど、俺はひそかに楽しみにしていた。

ベッド脇に放置していた携帯を確認すると、水上からメールを数件、受信していた。
内容は確認するまでもなくベーコンレタスな内容で、新しいサイトを発掘したらしかった。

水上が最近、はまっているのは王道の全寮制の学園もので、特に平凡が主人公のいわゆる脇役主人公ものが好きなのだそうだ。

正直、壱人と付き合うようになってから、平凡主人公の幼なじみや親友の設定のものは共感できるようになった。
だけど、全寮制の学園ものはファンタジーすぎて感情移入ができない。

別に主人公に感情移入なんてしなくても楽しめるんだけど、最近は感情移入した方がドキドキ萌えられたりする。

そもそもうちの高校は一応は進学校だけど、クラスの半分は女子生徒だ。
おまけに、俺と壱人以外に同性カップルを知らないし、そういった現場に出くわしたことがない。

何度か三年生の先輩カップルの現場に遭遇したことがあるけど、普通に男女のカップルだった。
それはそれで興奮したけど。

「…あふっ」

軽い睡魔に襲われてあくびを一つ。
今夜はいつもより少し早いけど、もう寝てしまおう。

明日から美男美女コンテストの準備も始まって、今より忙しくなるだろう。
クラス単位での準備だから、壱人とあまり会えなくなるのが少しだけ淋しかった。

だけど、やっぱ、楽しみなんだよな。
学園祭って。
無条件にお祭りは好きだ。

よっぽど疲れていたのか、寝間着がわりのTシャツと半パンに着替えて布団に入るとすぐに、眠ってしまった。

Bkm

prevnext
130/133ページ

PageList / List / TopPage
Copyright © 2010 さよならルーレット Inc. All Rights Reserved.
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -