幼なじみプレイ
可愛いとか言うな!

[10/12]
男心と秋の空


天高く……、

「いてっ!」

なんて、感慨に耽る時間も俺にはないらしい。

「動かないでってば」
「あ。ごめん」

思わず居眠りをしてしまった。
なんか顔中あちこちを弄られて、こそばゆいやら気恥ずかしいやら。
んで、ちょっとだけ気持ちいい。


放課後の教室。
学園祭の準備に追われている今は、ほとんどのクラスメートが居残りをしている。
その中でのこの状態は、ある意味、拷問にも近い仕打ちだよな。

理不尽なやる瀬なさに溜め息をついた瞬間、

「ほら、こっち向く!」
「…い゙っ?!」

いきなり顔を上に上げられて、思わず奇声を上げてしまった。

「〜〜〜〜」

いま、思い切り首がごきって言った!


自分の口から出た悲鳴も、平仮名の『い』に濁点が付いた日本語では表せない声だ。

結局、俺にメイクをしてくれるのはブログでメイク術を公開しているクラスメートに決まり、もう30分近くあれこれやられている。



「女子って大変なのな。これ、付け睫毛?」
「えっ?!二枚重ねてんの?!」
「へえ、糊(のり)で貼付けるんだ」

教室に大きな鏡があるはずもなく、どんなメイクになっているのかが確認できない状態で、クラスの男子が集まってきて、俺を取り囲んでわいわいやっている。

女子高生ブロガーの『ゆのりん』こと山下さんは平均的な容姿の普通の女の子なんだけど、使用前、使用後として、メイク前とメイク後の写メをブログに載せている。
つまりは、詐欺写や物まねメイクの達人で、女子高生を中心にかなりの人気者なんだそうだ。

今、自分がどうなってるかわからないながら、周りの反応からある程度は想像できる。
きっと、平凡だけど女顔の俺のこと。
それなりに可愛くなっているんだろう。

「米倉くんみたいに普通の顔ほど、お化粧映えがするの」

私もだけどと笑う山下さんは、確かにどことなく俺と似ている気がする。
壱人や村上みたく最初から整っているやつは、メイクをしても差ほど変わらないんだそうだ。

確かに、平凡顔の俺はメイクで目を少し大きく見せたり、切れ長に見せたりと変幻自在に弄れるわけで。
普通の顔と言われて心の中で『ほっとけ!』とツッコミを入れたものの、妙に納得する自分もいる。

「さあ、できたよ」

そう言われて顔を上げたら、

「おおーっ!」

案の定、クラスの男子からどよめきが起こった。

Bkm

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