幼なじみプレイ
腐男子プレイ

[12/35]
確か、去年は村上が女装部門で優勝したなと、不意にそんなことを思い出した。

「えー、絶対いいとこまで行くと思うのにな」
「泉には男のファンとかいらねーの」

村上がやっていているバンドはビジュアル系のバンドで、村上の女装はかなり本格的なものだったらしい。俺は、あいにく見てないけど。
村上は、もともとが美形の中でも、男前というよりは美人といった方がいいような見た目だからそれも頷ける。

「男のファンより腐女子のファンが増えるんじゃない?」
「は?」
「ちょ、結木さん!」

不意に聞こえてきた『腐女子』というワードに、意識が目の前の出来事に戻された。

(ちょ、なんてことを言うんだよ!)

きっと、壱人は腐女子がなんなのかは知らないだろうけど。


ここ最近、一部でベーコンレタスなブームが起きて、一般的にも『ボーイズ・ラブ』や『腐女子』という言葉が知られてしまった。
まあ、俺なんかは腐男子であることを今まで必死に隠してきたから、必要以上にそのワードに敏感になってしまっているから特に気になるだけで、一般的にはそんなでもないんだろうけど。

そのいい例が壱人で、全く興味がないやつには縁のない話だ。
たまにニュースだとかテレビ番組で取り上げられたらドキドキはするけど、興味のないやつはスルーする話題だろうから。


放課後。いつものように壱人と一緒に帰ってるところに、当たり前に結木さんが現れた。
この光景自体も当たり前のようになってきており、今は振り向く者もいない。

「それよりさ……」

必死で話題を逸らそうとしてる俺を見て、小さく吹き出した結木さん。
彼女は今日も教室で同人誌を読み耽っていたり、腐女子であることをあまり隠そうとはしない。

まあ、必死で腐男子であることを隠さないといけない俺とは違って、ばれようがばれまいが全く気にしてもないんだろうけどさ。
俺と同じように、腐女子の中にも必死で隠してる子もいるだろうけど。

そんなことを考えていたら、不意にある考えが頭に浮かんだ。



「…泉?」
「あ、ごめん。なに?」

それは隠れ腐女子もいることだし、もしかして、身近に腐男子はいないかなってことだ。
実は、俺が姉ちゃんにこの世界に引き入れられてからこちら、腐女子には遭遇するも、未だ腐男子には会ったことがないんだよな。

Bkm

prevnext
98/133ページ

PageList / List / TopPage
Copyright © 2010 さよならルーレット Inc. All Rights Reserved.
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -