読み切り短編集
二番目でもいいから
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二番目でもいいからなんて強がって、嘘ぶいていた自分に少し笑った。
それからもう一つ、大事なことを聞いてみる。
「あの、さ」
「ん?」
「豪太、持ってないよね」
「何を?」
「その、コンドー……」「近藤がどうした?」
「違くて。コンドームと、ロ、ローション的な?」
プレゼントを用意してなかったお詫びってほどでもないけど、俺の完全な初めてを豪太に贈ると決めた。
「え、あ。寮の部屋には多分、置いてあると思うけど……、そ、その。スーパーで買っちゃう?」
「いや。それは無理」
レジのおばちゃんはみんな顔見知りなんだってば。
結局、ブツは豪太に隣町のドラッグストアまで買いに行ってもらって、俺一人で今夜の買い出しを済ませてしまう。
急なことで下準備もできてはいないけど、簡単なケーキぐらいなら焼く時間もありそうだ。
大きな荷物を二つ抱えたスーパーからの帰り道。
アスファルトの上に積もった雪を慎重に踏み固めながら、帰路を急ぐ。
冷静になって考えてみれば、篠崎は俺が豪太に出会う前から豪太のことが好きだったんだよね。
そんな真っすぐな気持ちから俺に意地悪をしたんだろうし、途中でひょっこり現れた俺が豪太の一番だなんて、とても我慢ができなかったんだと思う。
でも、だからと言って豪太は譲れない。
豪太と二人で、世界中の誰よりも幸せになると決めたんだ。
聖なる夜だから、それくらい夢見たっていいはずだよね。
願わくば、篠崎にも豪太じゃない誰かと誰よりも幸せになって欲しい。
今夜のことを思うと口から心臓が飛び出しそうだけど、ついでに中川も。
なんて、ぼんやり思ったメリークリスマス。
ありがとうございました。
あとがき
2011/12/18/完結
Bkm
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