読み切り短編集
Life is beautiful
(6/9)

仲直りの魔法


…そろそろ頃合いかな。
つか、いい加減、俺の方がいろいろとやばい。

飼い犬の調教(しつけ)にはお灸(きゅう)をすえるのが一番だとか言われてるから突き放してはみたが、一日、あいつの顔を見ないだけで俺の方がいろいろと不安になってくる。

直球勝負が得意なあいつは、思い込みが激しいやつだ。
俺が言った意味を正しくとらえてたらいいけど。

『もうこれ以上、おまえに言うことはねえよ』

その前に散々愚痴るあいつに友達は友達で、お前とは比べられないってちゃんと言ったつもりだけど、きちんと伝わっているんだろうか。


あいつの少し馬鹿なところが好きだ。
馬鹿正直で、馬鹿みたいに真っすぐなところが。

少しあいつを突き放したのが昨日の今頃で、実は今、俺はめちゃくちゃあいつに会いたくなっている。

いつの間にこんなに好きになっていたんだろう。
…んとに。責任をとりやがれ。

別に喧嘩をしてるわけでもなんでもないけど、俺は今、あいつからの仲直りの言葉を待っている。


絶対あいつはここに来る。
そう確信して見上げた空。

雨上がり、五月晴れ。
いつもの屋上。

『ごめんね』

気まぐれ猫が待っているのはたった一言、仲直りの魔法。


2011年5月

Bkm
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