読み切り短編集
二番目でもいいから
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うちの学校は全寮制という特性上、他の学校より少しだけ長期休暇に入るのが早い。
それは少しでも長く家族と過ごせるようにとの学校側の配慮でもあり、特に冬休みはクリスマスを家族で過ごせるようにと20日に二学期の終業式を終えた。

「……はあ」

それでも、俺たちのように休暇中も帰省せずに寮に残っている生徒も多い。
その大半が家庭の事情、例えば自分は次男で実家に帰っても居場所がないからといった上流家庭ならではの複雑なものだが、なかには俺たちのように恋愛事情で帰らない者もいる。



クリスマスまであと五日。
クリスマスイヴまでは、あと四日だ。
いい加減、豪太から何かアクションがあってもいいのに、全くその気配はない。

多分豪太は、俺は絶対、帰省しないで寮に残ると高を括っているんだろう。
俺とクリスマスイヴを過ごす気があるかどうかは別にして。

半ば諦めモードの俺を繋ぎとめているものは、クリスマスイヴ当日にサプライズがあるかも知れないと言う乙女思考だ。
豪太に限ってそんな行動を起こすはずがないとは思いつつ、今はそんな夢を見ていたかった。



部屋の気温は常に適温に設定されていて、冬だというのに裸で寝ても差し障りはない。
いつの間にかベッドに俯せたまま眠ってしまったようで、微弱な携帯電話の着信音で目覚めた。

ボリュームを抑えた着信音で目覚めたということは、眠りはごく浅いものだったんだろう。
まだ気怠い体をなんとか起こして携帯電話に手を伸ばせば、何件かのメールを着信していた。

「嘘だろ、もうこんな時間か」

数件のメール着信と辺りの薄暗さ、携帯電話の時間表示で、思ったよりも深い眠りだったことに気付く。
メールは中川からのもので、いつものように放っておいても支障がなさそうだ。

重い頭をなんとか起こすと、

「あ」

腹の虫がぐうと鳴る。

そう言えば、朝に簡単な朝食をとってから何も食べてはいない。
こう見えて、育ち盛りの高校生男子な俺は、こんな時にもやはり腹が空くらしい。

空腹感はあっても、食欲は全くなかった。
それでも、空腹感を満たすためにキッチンへと向かう。

夕食のメニューを考えて我に返り、無意識に二人分の食材を用意している自分にまた我に返る。

無意識に豪太の分も用意しようとしていた。
今夜も遅くなるとに言われてるのに。

Bkm
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