読み切り短編集
二番目でもいいから
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(あ……)

そんな彼をずっと眺めていたら、不意に気付いてしまった。
視線の先はハンドボール部。
しかも、真っすぐ豪太に向かって一身に注がれている。

彼の行動はそのままその席で俺がとっている行動で、彼が豪太をどう思っているか、知りたくなかったことを知ってしまった。


ただ俺とは違うことに、彼はほんのり頬を薔薇色に染めている。
夢見る表情とでも言ったところだろうか。
その横顔が息を飲むほどに綺麗で、西日にキラキラ輝いて見えた。

うちの学校で豪太のことを好きなのは彼だけじゃない。
それでも、なぜだか胸が悪戯に騒ぐ。
豪太が学校中の人気者なことも、生徒会役員でもないのに親衛隊がついていることも周知の事実。

それだけモテる豪太だからこそ、彼のような人間はたくさんいる。
彼はその中の一人に過ぎない。


……なのに。

赤いランプが点滅している。
豪太に彼を近づけてはいけないと。
危険信号を発信している。
何故だかとても嫌な予感がした。

けれど、彼が真っすぐで純粋な少年に見えたから、もう何も言えなかった。
元々なんで豪太が俺のことを好きになったのかって疑問が消えなくて、豪太の恋人は俺じゃなくても良かったんじゃないかと疑心暗鬼になっていたし。

豪太に言わせれば、ここは自分に自信を持たなきゃいけないところなんだろうけど。
周りに内緒にしているとは言えど、豪太の恋人は外(ほか)ならないこの俺なんだから。



彼から視線を外し、パソコンの画面に移した。
俺が知らないだけで、俺が担当じゃない時に彼は頻繁に図書室を利用しているのかも知れない。

ざっと利用者リストと貸出履歴をチェックしてみたけど、彼の名前はなかった。
ただ単に借りていないだけで、図書室を利用しているとも考えられたけど、それは他の貸出の担当者に聞いてみないとわからない。


パソコンに向かうこと数分後、

「…あの、すみません」

斜め上から声がして、俺は慌てて声がした方へ視線を移した。

Bkm
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