読み切り短編集
二番目でもいいから
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結局その日は豪太が二回射精するまで行為は続いて、後始末を含めた全てが終わった頃には日付が変わってしまっていた。

「温め直すからちょっと待ってて」

俺の次に風呂場へ向かいシャワーを浴び直した豪太に向かってそう言うと、

「このままでいいよ」

ダイニングテーブルに着いて箸を握る豪太。

幸い今日用意した和食中心の献立は冷めても大丈夫なメニューばかりで、取りあえずはインスタント味噌汁だけで暖を取る。
行為と熱いシャワーでほてった体には、それだけで十分すぎるくらいに十分だった。



そんなこんなでなんとか遅すぎる夕食も終わり、

「おやすみ」

豪太が眠るために自室へ向かったあと、食事の後片付けにキッチンへと向かう。
シンクの前に立って食器を洗っているとセックスの最中に力を入れすぎていたのか、今になって太股がぴくぴく痙攣し始めた。

いつもより少し激しい行為が豪太の嫉妬によるものだったことに気付くのはまだまだ先のことで、その真意は掴めていなかったけれどそれが気恥ずかしかった。
簡単に洗い物を済ませてしまって自分も自室へ向かうとベッドにうつぶせて倒れ込んだ。



太股の間に豪太がまだいるようで、微かに残る甘い疼きを枕に顔を埋めてやり過ごす。
いつものように挿入をしないやり方も豪太の優しさで、俺たちはいわゆる挿入を伴う本当の意味でのセックスはまだしていない。

男同士の行為にも詳しいバイセクシャルの豪太と初めて関係を持った時に、挿入を伴わないセックスがあることを教えてくれた。
それから挿入を伴うそれを怖がる俺はそれを避け続けて、いわゆるお互いの性器を擦り合わせたり太股で挟む疑似挿入でのセックスが俺たちの普通になっている。

お互いに気持ち良ければそれでいいと思っていた。
体を繋げることにはそんなに思い入れもなく、ただ豪太にきつく抱かれているだけで幸福感で満たされた。

だから俺自身も学校で豪太に半ば無視されるのだけは淋しいけれど、周りに秘密にしていることも我慢できた。
自室に戻ればずっといちゃいちゃしていられるし、俺だけが豪太を独占している事実さえあればそれを周りにひけらかしたりする必要もないからだ。


今思えばこの日の出来事は暗示していた。

恋人と友達との違いはあまりにも曖昧で、窓を突き破ったボールに吹き飛ばされた眼鏡のように豪太と俺との関係が脆くも壊れてしまうことを。

Bkm
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