読み切り短編集
二番目でもいいから
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豪太は半端なくモテて、俺と付き合い始めるまでは来る者拒まず精神で取っ替え引っ替え、それこそ着替えのように恋人を替えていた。
みんなに好かれている人気者ではあるけど恋愛に関してはそんなだらし無い前例があるし、モテるからこその問題もある。

うちの学校は一般的な学校のように不良や問題児はいないけど、豪太の恋人ともなると少なからず嫉妬されて軽いいじめの対象になる。
制裁まではいかないまでも呼び出されて忠告されたりクラス中から無視されることもあるらしく、豪太はそれを心配してくれている。

幸い、俺たちはルームメートだから寮に戻れば毎日一緒だし。
嫌でも……、嫌なことなんかあるわけないけど、毎日、顔を突き合わせてるし。
学校で他人のふりをするのぐらいは、ちょっとぐらいさびしくても我慢しなきゃな。

「え、うそっ。マジ有り得ねえ!」

不意に一際大きな歓声が取り巻きから沸き起こり、そちらを見遣ると豪太は輪の中心で腹を抱えて笑っていた。



豪太のことは、この学園へ入学した時から知ってはいた。
一年生の時から人気者だった豪太の周りにはいつも誰かしらがいたし、恋人らしきやつが途絶えたことがなかったからだ。

中学からのエスカレーター組の豪太らとは違い、高校受験での外部入学組の俺は、その異様さに弱冠引き気味だった。
同性愛に関しては偏見はないけど、同性を好きになった前例もなかったからだ。

だけど高校一年生の一年間をこの学園で過ごすうち、教職員まで男だらけで女のいない環境に慣れ、男同士の恋愛も普通だと思うようになった。


そうこうしてるうちに二年生になり、

「皆月だっけ。一年間よろしくな」
「あ、うん。よろしく」

豪太と同室になった。
話してみると案外飾らないやつで、結構普通のやつなことに気付く。
なんとなく鼻持ちならないやつだとかナルシストのイメージがあった分、最初の印象はとても良かった。
それから数日して豪太から告られた台詞も、大袈裟でも嘘臭い台詞でもない真っすぐなもので、

「充が好きになった。付き合って」

普段の調子で、ちょっと照れ笑いながらそんなことを言われ、

「その、俺でよければ」

気付いた時には、俺はそんな返事を返していた。

Bkm
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