読み切り短編集
Life is beautiful
(3/9)

わんこ的お勉強のススメ


先輩をデートに誘った。

「あの、先輩。次の日曜日、映画に行きませんか?」
「つか、おまえ。部活は?」
「テスト前で休みです」
「あ、そか」

そう言えばそうかと笑う先輩にドキドキしながら返事を待つ。
基本的に土日の日中は、部活があるから遊べない。

テスト期間なんかの特別な時期にしかその機会はないから、これは大きなチャンスだったりする。

なのに、

「つか、おまえ。テスト勉強は?」

どうせ赤点ばかりなんだろうと追い撃ちをかけられた俺は、肩を落としてうなだれた。


どうせ先輩のように、頭は良くないですよーだ。
…頭だけじゃないけど。

先輩みたいに顔も頭も良かったら、そりゃ……。

なんてぶつぶつ独り言を言ってたら、

「映画じゃなくて俺んちじゃだめか?」

なんて、先輩はものすんごいことを言い出した。


「………」
「どした?」
「え、えっ。先輩んち?!」
「勉強教えてやるよ」
「え、あ。勉強っすか……」

そりゃそうか。

……って、俺。
何を期待してんだ。


そんで今日は一日、早い土曜日。
先輩と向かい合ってノートに向かう。

けど、

『あれ先輩。ご家族は?』
『あん?みんな出掛けてて俺、一人だけど?』

そんなことがあって、集中できるはずがない。
注意力散漫でぐだぐだな俺に、先輩は大きな溜め息をついた。


うわっ、やばっ。
どうしよう。
ちゃんとしなきゃ先輩に嫌われる!

慌てふためく俺に呆れたように笑って、

「ほら、集中しろ。勉強が終わったら褒美をやるから」

先輩は、急にそんなことを言い出した。


だけど、その一言で、俺は余計に集中できなくなったわけで。


2011年2月

Bkm
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