俺様キューピッド
俺様キューピッド

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※三鷹Side 

「ハル、上がっ……」

一人でリビングにいるにしても静か過ぎると思っていたら、どうやらもう眠ってしまったみたいだ。
ソファーの上にくったりと身を任せて、静かな寝息をたてる晴陽の前髪をそっと掻き上げる。

「はーる」

その顔を覗き込んで名前を呼べば、

「…ぐう」

軽いいびきで返事をされてしまった。

「……ふっ」

そう言えば昔から早寝早起きだったけど、今でもそれは続いているようだ。
子供の頃は夜の10時には眠ってしまっていたが、どうやら今は夜中の12時が限界らしい。

「シンデレラタイム、か」

魔法が解けても消えないでいてくれた小さな体をそっと抱き上げる。
こんな所で晴陽を眠らせておくわけにはいかないし、落とさないようにと殊更、慎重に寝室へと運んだ。



余談だが、寝室に誰かを入れるのは初めてのことだ。
たまに葉が泊まりに来るが、葉はリビングのソファーをベッド代わりにして寝ている。

元々がリビングのソファーはベッドにもなる仕様になってはいるが、そこに晴陽を寝かせておくのは、少し勿体ない気がした。
せっかく神様が与えてくれたチャンスなんだから、これを逃す手はないだろう。

「よ、っと」

取りあえずはベッドの上に晴陽を寝かせてやり、その傍らにそっと横座りする。

「…はーる。制服を脱がないとシワになるぞ」

それから柔らかな頬をぷにぷにと摘みながら、可愛い顔を覗き込んだ。
こうなったら最後、晴陽は朝まで余程のことがない限り、起きることはない。

その隣にそっと横たわれば、可愛い顔が間近に見えた。
本人は自分が可愛くないと卑下しているが、俺にとっては誰よりも可愛いく見える。

「こら。起きないと襲うぞ」

小さいけれどつぶらな瞳だとか、同じくおちょぼ口だけど、ぽってりと真っ赤に熟れている美味しそうな唇だとか。
その唇に初めて指先で触れた時は、頬よりもぷにぷにと弾力があって驚いたっけ。

目の前にその唇が迫り、このまま触れてみたい衝動に駆られる。

これも余談だけど、恋人ごっこって、どこまでして良かったんだろうか。
忙しさにかまけてデートさえもできなかったし、よくわからないながら、どうやらハルからおはらい箱の引導を渡されてしまったが。


Bkmする
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