俺様キューピッド
俺様キューピッド
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それから議長の板垣くんもパソコンに向かっていて、次の会議の原稿を作ってるみたい。
板垣くんは滅多に喋らないのに会議の時はまるで別人で、決してぶれることなく会議を進行させて、その名司会ぶりは本当にかっこいい。
それぞれがそれぞれの仕事を熟している姿は、本当にかっこよかった。
もともとが美形ばかりの集まりだというのもあって、執行部のメンバーは言ってみれば、天に二物を与えられたことになる。
手を休めて半ばそんなメンバーに見惚れていると、不意に龍平と目が合った。
(……え)
すると、あからさまに視線を反らされた。
目が合った瞬間に春川くんから呼ばれた龍平だけど、なんとなくそれだけではないような気がする。
僕……、なんかしたかな。
龍平の気に障(さわ)るようなこと。
少しだけ春川くんと談笑して、龍平はすぐに書面に向かった。
学校側へ提出する書類の束をいったん纏めて、机の上でとんとんと揃えてから龍平はペンを握る。
仕事中、龍平のそばには、ずっと春川くんがいた。
春川くんに与えられた仕事は龍平の補佐がほとんどみたいで、だから二人はくっついたんだと思う。
今までは僕もこっそり龍平のためにいろいろしてたことを思い出して、自分の引っ込み思案な性格に自己嫌悪。
ちゃんと主張しなきゃいけなかったんだろうな。
龍平のことを幼なじみとしてじゃなく、恋愛対象として好きだったこと。
「あ」
「ん。晴陽、どうした?」
「あ、いえ。なんでもないです」
……僕。
龍平のこと、現在進行形じゃなくて『好きだった』って。
もしかして、そろそろふっ切れてきたのかな。
そういえば最近、二人の姿を見てもあんまり苦しくはない。
仲が良さそうな二人を見ても、切ない気持ちよりも羨ましい気持ちの方が強いし。
これって……、会長のおかげ?
そう思ったら急に頬が熱くなった。
そんな僕を見て、
「晴陽。熱でもあるのか?真っ赤な顔をして」
そんなことを言いながら、会長が僕のおでこに触れてくる。
その場所から、全身にその熱が回ったような気がした。
会長が触れた場所がとにかく熱い。
その感情に戸惑っていたら不意に、ひょいと会長に横向きに抱き抱えられた。
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