俺様キューピッド
俺様キューピッド

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だから敷地の中に学生寮はもちろん、品揃え豊富なコンビニや大型図書館、ちょっとした森林公園まである生活スペースとは違って移動にはほとんど時間は掛からない。
なのにいつも遅刻がちなのは僕の足が遅いというか、のろまだからなんだけど……、これでも一生懸命走ってるつもりなんだけどな。

あ。ちなみに良い子のみんなは、廊下は走っちゃだめだよ。

これは特別。
のろまな亀の僕にだけ与えられた特別ルールだ。
走ってるっていっても、一般的には競歩のスピードだしね。

しばらく走って眼鏡のレンズが少し曇った辺りで、

「…はあ、ようやく着いた」

なんとか僕らは無事に特別棟に辿り着いた。



僕らの1年B組はA棟の三階にあって、B棟を間に挟んだ向こう側にある校舎が特別棟だ。
うちの学校は金持ち学校だけど施設自体には無駄なお金を掛けてはいなくて、移動は普通に階段を使っている。

これが生活スペースになるとエレベーターやカードキーの使用も当たり前になるんだけど、学校スペースは学習のための機材や体調管理のための冷暖房機器や空調なんかにお金を掛けていて、これは進学校としても名の知れたうちならではじゃないかな。

通用口から入ったすぐに保健室があって、一階は主に各教科の資料室があるフロアになっている。
二階からが美術室やら視聴覚室、理科室、音楽室、その他もろもろの専門教室になっていて、それぞれの特徴ごとに配置されている。

それから最上階が職員室や校長室、理事長室がある職員スペースになっていて、生徒会室と風紀委員室だけは特別に、屋上に平屋立てのように二つ隔離された部屋が用意されている。
特別棟の屋上は一般生徒の立ち入りが禁止されていて、特別なカードキーを持っている学校職員と生徒会役員と風紀委員のメンバーだけが立ち入ることができる仕組みになっている。

これは生徒会役員と風紀委員の活動だけは特別で、全校生徒を統括する役割を担っているからだ。
そのために生徒の個人情報やシークレット情報も把握しているから、その情報が漏れないようにとこんな状態になっている。

言ってみれば生徒会の役員メンバーが学校を動かしていると言っても過言じゃなくて、そう考えると改めて僕はとんでもないところに足を踏み入れてしまったんだって思う。

Bkmする
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