俺様キューピッド
俺様キューピッド
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ぱこっと携帯電話を閉じて傍らに置いた。
完成したオムライスに龍平と春川くんの相合い傘を書いたところで、玄関のドアが開く。
「…ただいまー、……って、今晩はオムライス?!」
手放しで喜んでくれる春川くんがなんだかいつも以上に可愛く見えて、
「今日は春川くんの好きなものばかりにしたんだ」
早く手を洗って来なよと照れ笑いながら、最後の仕上げに取り掛かる。
予行練習がてらに葉先輩と約束をしたマカロンとクッキーを焼いて、食後のデザートも用意した。
昨日は動揺のあまりきちんとお祝いできなかったから、今夜はちゃんと祝ってあげなきゃ。
会長とのメールのやり取りで落ち着いたのか、昨日より素直に春川くんに『おめでとう』が言えた。
春川くんの惚気(のろけ)話に付き合っている間も、不思議と心は穏やかだ。
楽しいお喋りの最中にメール着信。
また会長からかなってドキドキしながら携帯電話に手を伸ばして、ぱかっと開けたら生徒会のみんなから。
高梨ツインズからは、絵文字やデコ文字の使い方までそっくりな、賑やかなメールが数秒と間隔を空けずに届く。
真田くんと板垣くんからは真面目で誠実な文章で『よろしく』されちゃって、水月先輩からは次のお茶会のご招待と件名に書かれたお誘いのメールが届いた。
春川くんはクラスではお姫さま扱いされてるけど、本当の友達と言えるのは僕だけだから僕の気持ちもよくわかるんだろう。
「ハルっち。よかったね」
そう心から喜んでにっこり笑って、僕の生徒会入りもお祝いしてくれた。
どうしてこんな嬉しい展開になったのかを考えて、会長が生徒会に誘ってくれたことに落ち着いた。
会長が僕の味方でいてくれるから、もう龍平のことも諦められそうな気もした。
嬉しそうな二人を見ていると僕も嬉しいし、龍平が幸せなら、それだけでいい。
僕には生徒会執行部のメンバーだけど、友達とも言える仲間ができた。
全員が美形で人気者だから物おじしたのもつかの間で、気さくなみんなに押されて生徒会でやってく覚悟もできた。
このまま頑張れば、友達100人も夢じゃないかも。
そんなことを考えているうちに、生徒会入り初日の夜は更けていった。
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