俺様キューピッド
俺様キューピッド

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明日からは本格的に生徒会のお手伝いも始まるし、今までのようにぬるま湯に浸かったままではいられない。
僕ができることなんか限られているだろうけど、できるだけみんなのお役に立てればいいな。

そんなことを考えながら支度をする夕食は、今朝の朝食の準備とは段違いに楽しかった。
そう言えば今朝、史上最低な気持ちで朝食をとったなと人ごとのように笑ってフライパンを握る。

『友達、できたらいいね』

葉先輩は言っていた。
僕が龍平と春川くん以外に友達らしい友達がいないって告白したら。

よくよく考えたらこれからは龍平と春川くんは二人で行動することが増えるだろうし、そうなるとどうしても一人で過ごすことが多くなる。
生徒会以外にクラスでも友達を作らなきゃと決意も新たに、フライパンを握る手に力を込める。

「よ、っと」

今日の夕食は、春川くんの好きなオムライスにした。
そう言えば昨日は龍平の好きなものばかりを用意していたし、春川くんもきちんとお祝いしてあげなきゃ。

オムライスと格闘していたら、携帯電話が鳴った。
この着信音はメール着信の合図。

「…ふふっ」

メールを開いてみれば会長からのメールで、その内容を確認して笑ってしまった。


『今、なにしてる?』

一行だけの短いメッセージ。
質問だから返信しなきゃ。

そう考えてふと手が止まる。
こういう時って、すぐに返信した方がいいのかな?

今までにあんまりメールのやり取りをして来なかったから、返信するタイミングがよくわからない。
着信してすぐに返信したらなんだかがっついているようだし、特に嘘っこでも恋人の会長には恥ずかしすぎる。

うーんと考えること数分。
少し落ち着いてから返事を送る。

『夕食の準備をしてました』

その一行を送ろうとして、慌てて『先輩は?』の質問文を付け足した。

なんて言うのかな。この一回で終わらせたくなくて。
そしたら『書類を整理している』の一行に、質問文の『指の怪我は大丈夫か?』が付いた返信メールが届いて。

そんな感じで何回かやり取りした後、『おやすみ』に『また明日な』の一行が付いたメールが届く。
僕も『おやすみなさい』に『また明日です』となんだか少し変な文章になっちゃったけど、明日を約束するメッセージをくっつけて送信する。

Bkmする
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