俺様キューピッド
俺様キューピッド

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とにかくそんなすごいメンバーの中に、平凡な僕がいていいのかなって不安になる。
会長の恋人だってカモフラージュしてることさえ、よくよく考えれば恐れ多いことなのに。

もう一人の補佐役、春川くんは生徒会メンバーと一緒にいても違和感のない容姿をしているけど、僕はお世辞にも可愛いとは言えないし。

そっか。
生徒会うんぬん以前に、僕が会長の恋人だってことから恐れ多いことだったんだ。
昨日は失恋したばかりだったから気付かなかった。

会長に『俺のものになれ』と言われて、その真相を聞かされて、それなら……、なんて思ったこと自体が恐れ多いことだったんだ。

「返事は『イエス』か『はい』しか認めない」

そう言われたけど、きちんと『ノー』って……、じゃないや。ちゃんと『ごめんなさい』って言わなきゃいけなかった。


あれから始業式が終わって、クラスごとのホームルームも終わり、放課後。課外活動にあたる生徒会に顔を出したんだけど。
目を開けていられないほどキラキラ眩しい方々を目の前にして、またまたヘンな敬語が出そうになった。

『かわいー、俺もハルっちって呼んでいい?』
『…あ、えと。はい』
『同い年なんだから、俺らに敬語はいらないよー』

そんなフレンドリーな双子の高梨兄弟のおかげで、なんとか踏み止(とど)まったけど。

『よろしくねっ!』
『…………』

真田くんにはニコニコ笑顔でよろしくされちゃって、板垣くんには無言でガシッと握手されちゃった。
(ちょっと痛かった)

『生徒会へようこそ』

副会長がそう言いながらとても綺麗に笑った瞬間は、思わず鼻血を吹き出しそうになっちゃった。


それから解散したのが、お昼をちょっと過ぎた頃。
久しぶりに校内にある学食でリーズナブルな日替わり定食を食べてからここに来た。

結局、生徒会の補佐役に任命されたから美化委員は退任したかたちになったけど、花壇だけは今まで通りに手を掛けていいように会長が手配してくれた。


今日は、花が終わったものを勿体ないけど抜いてしまおう。
次の苗を植えるために、植えるスペースを空けとかなきゃね。

ここにはコスモスを植えようか。
色はやっぱり薄いピンクかな。

主役のダリアは控えめな薄い黄色だし、基本的に黄色が好きな僕の花壇は真っ黄っ黄になりがちだ。

Bkmする
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