俺様キューピッド
俺様キューピッド
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二学期の初日の今日は始業式とホームルームだけで一応は放課となり、その後、午前中いっぱいは校内活動をすることになっている。
部活動や各種委員会の二学期の予定やらを話し合うのが目的で、今日の生徒会は晴陽の補佐役としての就任式が予定されていた。
就任式といっても、口頭で補佐役に任命することのみを伝える簡略されたものだ。
それでも、それで晴陽は晴れて生徒会役員の一員となり、取り敢えずは手元に置いておくことに成功したことになる。
まさか生徒会長のものに手出しをする不届き者はいないだろうが、念を入れておくことに越したことはない。
それに、生徒会に引き入れておけば登坂に晴陽の良さをしらしめるのに都合もいいし、二人をくっつけるかどうかは別にし、晴陽をそばに置いておく手段にもなる。
まあ、言ってしまえば俺がそうしたかっただけで、だが、幸い晴陽の成績も素行も申し分ない。
さあ、始まりだ。晴陽。
お前の良さを全校生徒に見せ付けてやれ。
「なに考えてんの。にやにや笑って」
「別に」
「むっつりすけべ」
「ぬかせ」
俺たちの行く先にあるものは希望の道だけだ。
例えカモフラージュだとしても、晴陽、お前はこの俺、三鷹岳が選んだ三鷹岳の恋人なんだから。
俺と水月が歩く道すがら、人波が面白いように二つに分かれていく。
まるでモーセの杖を海面に突いた直後のような光景に苦笑い、窓の外を仰いだ。
空には雲一つ見当たらず、眩しい太陽が新たな門出を祝福していた。
晴陽が望むならば登坂との仲を取り持ってもいいが、それよりも俺にはやるべきことがある。
「楽しくなりそうだ」
「ごちそうさま」
何やら勘違いした水月がそう言ってきたが気にしないことにする。
晴陽、足長おじさんやマイフェアレディーのスポンサーのように、全面的にサポートしてやるからな。
そう心の中で独りごちると、気を引き締めるかのように、緩んだネクタイをきゅっと締めた。
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