俺様キューピッド
俺様キューピッド

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それより何より、突然のことで上手く考えがまとまらない。
生徒会の補佐役は特別に、いつでも必要な時に好きなだけ補充できるようになっている。
補佐役は生徒会の正規メンバーじゃなくて仮入部員のようなもので、だから春川くんも僕と同じように一般寮室なんだけど。

表向きには生徒会の仕事が忙しい時に会長自ら任命することになってるけど、実際には中学生の頃に転校生だった春川くんが任命されたように、外敵から任命された生徒の身を護るための要素が強く、僕も一応、その護られる対象なんだろう。

僕の場合は決して美人でもかっこよくもないのに会長の恋人になっちゃったこともあるし、少なからず嫉妬されたり意地悪されちゃったりする心配があるのかも知れない。
えーと、なんか人ごとみたいに言ってるけど。

うちの学校は家柄だとか学歴に傷がつくのを嫌がる生徒がほとんどで、いじめたり暴力を振るう生徒はいないはずだ。
生徒会メンバー始め、人気者の親衛隊も平和主義で、崇拝者の幸せを願うのが表向きの活動内容になっている。

けど、好きな人とは両思いになりたいと思うのが当たり前だよね。
だから例えまね事でも会長の恋人になるんだから、それだけの覚悟は必要だったんだ。

いつだったかお金にものを言わせて不祥事を揉み消す生徒がいるとか龍平が愚痴っていたし、ただの会長の恋人って立場だけだといろいろ弱いんだと思う。
それが仮にでも生徒会メンバーになったとしたら、そうは迂闊に手出しもできない。

それに生徒会メンバーと行動をともにすることが多くなると、さらに何かをするのも難しくなる。

会長、ちゃんと僕のことを考えてくれてたんだ……。
僕が危険な目に遭わないようにと、僕を生徒会に誘ってくれた。

どちらかといえば生徒会に入ることは強制的みたいにも感じるけど、これも僕のことを考えてくれたからだ。


今までの僕は名前と顔が一致しなかったから、注目を浴びることもなかった。
けどこうやって補佐役に任命されて表舞台に立てば、今までのようにはいかないだろう。

僕を護るためだけに会長が僕を補佐役に任命したんだとしても、それでも補佐の仕事はきっちり熟さなきゃ。
龍平や春川くんを見る限り、生徒会の仕事は大変みたいだし。

それに仮にも僕は会長の恋人なんだから、彼氏の顔をつぶしちゃいけないよね。


そんなこんなで彼氏いる歴二日。
井上晴陽、16歳。

俺様会長の任命により、生徒会執行部メンバーの一員になりました。

Bkmする
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