俺様キューピッド
俺様キューピッド

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それになんと言っても僕と会長の関係は龍平に嫉妬させるためのカモフラージュなんだから、目立ちすぎるのも問題だろう。
そもそも龍平が会長に嫉妬してくれればそれでいいわけで……、なんてのんきに考えていたのに、すぐに僕のその考えは甘かったことを痛感することになる。

「ほら席に着けー」

程なくして担任の瀬戸内先生がやって来て、ホームルームが始まった。



9月に入って暦上では秋に突入したというのに、秋の一日目の今日は秋とは名ばかりにぐんぐん気温が上がってるみたいだ。
特に今年は例年にない猛暑だからか、外の暑さったら半端ない。

ただうちの学校は元々が金持ち学校なだけに、全ての教室に冷暖房が完備され、クーラーがガンガン効いている夏は校舎内にいると反対に寒かったりもするんだけれど。

話を元に戻すと、どうやら先生たちにまで僕が会長とくっついたことは知れ渡ってしまったようで、先生と目が合った瞬間に先生から「おめでとう」を言われてしまった。

学校の環境が環境だけに、生徒たちだけじゃなく先生にも同性愛に対する偏見はない。
それはともかく「おめでとう」はさすがにどうかと思うけど、自由な校風のうちの学校らしいよね。

普通の高校なら不純異性交遊が禁止されている所もあると思うんだけど、それなのに、うちの学校は不純異性交遊どころか不純同性交遊も容認されているふしがある。

えっと……、僕と会長に限って、その、『不純』なことは何もないけど、それでもこれってすごいことだよね。
そもそもうちは学業を重視している学校だから、もしかして不純異性交遊は禁止しても不純同性交遊は歓迎されるかも知れない。


異性間の場合、その……、避妊しないでエッチしちゃうと妊娠しちゃうわけで、そうなるともう学校どころじゃなくなるし、その点、同性間ならそれがない。
先生は特に理事長はいつも「適度の気分転換は必要だ」と言っていて、だからうちの学校は羽目を外さない限りなんでもありの校風だ。
ただうっかり羽目を外してしまうと、即効で退学になるから要注意なんだけどね。

なんていうか……、思春期真っ盛りの青少年ばかりが集うこの環境のことを先生たちもよくわかってるから、不特定多数を相手にするより、相手を特定するいわゆる特定の誰かと恋人同士になることはかえって歓迎されてる節(ふし)もある。

Bkmする
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