俺様キューピッド
俺様キューピッド
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これからもこんな毎日が続くのかな。
早く龍平が全てだった毎日を忘れなきゃ。
龍平には春川くんがいる。僕も僕を大事に思ってくれる誰かを探して……、じゃないね。
龍平よりも素敵な人を見つける。そんで新しい恋をする。
もうこっそり一人で泣かなくてもいいように。
まだ少し早い時間だからか、寮内ではほとんど誰とも出くわさなかった。
たまにすれ違う誰かと「おはようございます」と暗黙のルールの挨拶を交わし、僕が世話を任されている僕の花壇へと急ぐ。
学園エリアよりも広い寮を出て、学園エリアの中庭へと足を向けた。
中庭のテラスに程近い、校舎脇の小さな花壇が僕の花壇だ。
花壇には僕個人が大好きな花ばかりが植えてある。
今日から9月。
そろそろ秋の花の苗に植え替えなきゃ。
コスモスとかデイジー、ダリアなんかがいいかな。
全部を植え替えるんじゃなくて、まだ綺麗に咲いてるマリーゴールドやラベンダーはそのままで少しずつ秋らしい花壇に変えていこう。
そんなことを考えていたからか、報道部の掲示板を見忘れてしまった。
報道部の掲示板には、毎月一日に校内新聞が張り出される。
その新聞はちょっとしたゴシップ新聞のようなもので、学園内のスクープが大々的に取り上げられている。
我が校の報道部はちょっとしたパパラッチのようなもので、龍平と春川くんが付き合い始めたこともスクープされているはずで、その記事が一面を飾っていると想像できた。
だからかな。
毎月一応はチェックしているけど、今月のはあまり見たくない。
「なあ新聞見たか?」
「見た見た。やっぱり、あの二人がなあ」
「それより号外だよ。まさか会長に……」
だから、まさかそんな大変なことになっていただなんて、その時の僕は思いもしなかった。
花壇に行く前に、土いじりをする道具を取りに用務員室に寄る。
あ。今日は村田さんお休みかな。
村田さんは一番若い用務員さんで、こないだ、確か25歳になったばかり。一番僕と仲が良い用務員さんで、なんでも話せるお兄さんみたいな人だ。
「おはようございます。中村さん」
「やあ、おはよう。今日は早いね」
ちなみに中村さんは僕のお父さんと同い年で、用務員さんのリーダーのような人。
中村さんに夏休みの間、花壇のお世話をしてくれたお礼を言って、用具一式を抱えて花壇に向かった。
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