俺様キューピッド
俺様キューピッド
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それは恋人ごっこって、いったいどこまでやるんだろ…っていうこと。
不意に思い当たった小さな疑問。
例えば、ままごととかお医者さんごっこなら家族とかお医者さんの真似っこだけど、恋人の真似って……。
その、デートなんかはカムフラージュだから必ずすることになるよね。きっと。
それから手を繋ぐこととかハグはもうしちゃったし……、その、キ、キスなんかはしないよね。
キス以上のこととか……、って、僕はなにを考えて、―――っっ!!
暴走し始めた自分の妄想に身もだえて、そこからは妄想の暴走が止まらなかった。
だって恋人同士ならその先も当然のことなんだろうけど、そもそも男女のことでさえよくわからない僕に、男同士はどうするかなんてわかるはずがない。
会長に関して言えば暴走する親衛隊員を治めるために、定期的にお気に入りを部屋へ呼んでるとか、よくわからないけどテクニシャンだという噂があって、よくない想像をしてしまった僕は青ざめた。
会長は中学生の頃からこの男だらけの環境で生活しているし、小学生の時も似たような環境だったみたい。
先輩がその……、女の子は愛せない性癖なのかどうかの真相はわからないけど、少なくとも同性愛には偏見もないはずだし。
……あ。
そう言えば龍平に失恋したって告白したことで、僕もそうだって思われたかな。
僕が好きなのは確かに龍平だけど自分がそうだというわけじゃなくて、多分普通に女の子とも恋愛できるんだけどな。
たまたま好きになったのが龍平ってだけで、その……、人並みにエッチな気分になるのは女の人のグラビアなんかだし。
明確にはよくわからないけど、僕は男の人が好きなわけじゃなく、龍平が好きなだけなんだと思う。
「ハルっち、なにしてんの。早くおいでよー」
そんなことをぐるぐる考えてたら、春川くんに呼ばれて我にかえった。
いけない。そう言えば僕、お茶の準備をしてたんだっけ。
しゅんしゅんと音をたてて沸騰してるケトルをIHヒーターから外し、ティーポットへ入れ替えた。
何種類かの紅茶の葉っぱ、ジャム、牛乳、砂糖、それにティーポットとカップのセットを小さな移動用のワゴンに乗せてバリアフリーの共同スペースを移動する。
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