俺様キューピッド
ぽっちゃりキューピッド
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「春川くん!」
玄関で靴を脱ぐのももどかしく、リビングに駆け込んで春川くんの名前を呼んだ。
そこにはやはり春川くんの姿はなく、急いで春川くんの部屋へと向かう。
「春川……」
リビングを覗いた時から予想したように、やっぱりそこに春川くんの姿はなかった。
「うそ……」
最近の春川くんはなんとなく元気がないって感じてただけに、悪戯に不安感が募る。
なんとなく、なんとなくだけど龍平とも少しよそよそしい感じがしたし。
けど、龍平は教室にいたんだし。
もしかして、その…、いちゃいちゃするのももう終わって教室に顔を出したのかも知れない。
よくよく考えてみれば最後のショート・ホームルームだけ顔を出すなんてあるわけないのに、その時の僕は無理矢理そう思って自分を安心させた。
「そうだ。メール……」
春川くんの不在を確認したところで、部屋を飛び出して生徒会室に向かう。
途中、そう言えば春川くんにメールすればいいんだと思い立ってメールを送った。
少し寄り道したから急がなきゃ、合同会議に遅刻しちゃう。
来た道を再び辿りながら、それでも不安感は消えなかった。
生徒会室に到着する前に龍平と連絡をとってみようかとも思ったけど、とにかく遅刻しないように行く道を急ぐ。
「あ」
途中、学園エリアに入ったところで、春川くんの叔父さんの理事長と出くわした。
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