俺様キューピッド
ぽっちゃりキューピッド
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いつもより少しだけ多めに作った稲荷寿しは、今日の放課後にある合同会議のためだ。
今日は月に一度の風紀委員会との合同会議で、風紀委員の執行部メンバーが生徒会室にやってくる。
最近は目立ったトラブルは皆無だけれど、だからこそ改めて気を引き締めなきゃいけない。
一見平和で穏やかな学校だけど、起こり得るトラブルはかなりのものだったりするし。
うちの風紀委員会は生徒会執行部と同じ、学園のルールとも言える絶対的な権限を持っている。
校則らしい校則がないうちの学校は、生徒会役員、特に生徒会長と副会長が全ての権限を持っていて、学園の教職員は学園での生活に全く関与して来ない。
全てを生徒の自主性に任せるその校風は学園創立からのもので、風紀委員執行部の力も相当なものみたい。
生徒会の仕事を手伝わせてもらうようになって知ったんだけど。
うちの理事長は春川くんの叔父さんで、まだ若くて30歳と少しだったかな。
見た目がホストみたいだとかみんな言ってるけど、噂によるとうちのOBであり、いい大学を出たエリートらしい。
いざと言う時は理事長自らが対処するみたいだけど、中学時代から岳先輩が指揮してる時は上手く機能しているようだった。
いつものように用務員室に寄り、花壇いじり用具一式を借りる。
「おはようございます」
用務員室を覗いたら、寝癖だらけの短い金髪をぼりぼり掻いている村田さんが眠そうに大きな欠伸(あくび)を一つ。
どうやら昨夜は用務員室に泊まったようで、座敷になっているスペースには布団が敷かれていた。
「んあー、ハルか」
眠そうな目をごしごしと擦りながら、ちょいちょいと人差し指で村田さんに呼ばれる。
なんだろうと思って近づいたら、
「わっ!」
いつものように後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「ちょ、村田さんっ」
「…あー、やわらけー」
そう言えば風紀委員長の東雲先輩も村田さんと同じような髪型をしていて、短めの金髪に限りなく近い茶色の髪、両方の耳たぶにピアスもいっぱいつけている。
パッと見は不良のようだけど、校則のないうちの学校では校則違反じゃないんだよね。
東雲先輩のお父さんは警視総監で、先輩は中学からのエスカレーター組の中でも岳先輩や葉先輩のようなエリート中のエリートだ。
クラスも岳先輩と同じ2年A組で、成績もトップクラスだそうだ。
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