レディの扱い方


たとえばそれとなく、紳士的に手を握ってみる。ぎゅっとすれば折れてしまいそうな細い指を丁寧に優しくかつ繊細に。そうすると霧野はそれを笑う。
「何がおかしいんです?」
「だって、雛乃。俺は男だ」
「わかってます」
いいや、分かってない、と霧野。俺の紳士的なそれをお断りして、急に立ちあがる。
「俺は男だ。顔は女かもしれないが、男なんだ」
「…はあ」
何が言いたいんだかさっぱり分からないが、まあとにかく彼が不機嫌なことは分かった。笑っていたってすぐ分かるさ。さっそくご機嫌取りに悲しそうな顔をして、ごめんよと謝罪を述べる。彼の顔がますます無愛想なものになる。
「どうして、そんな顔するんですか?」
「お前のせいだよ」
「俺、なにかしましたか?」
「現在進行形でしてるよ」
歩き始める彼の歩調はどこか荒々しく、歩き方はまるで粗雑な男のようだった。ああ似合わないな、なんて。
きっと失礼に思うだろうから、言わないでおこう。







:初の雛蘭


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