はあと息を吐くと目に見えて白いのが分かる。手袋を忘れた両手をこすり合わせてまたはあと熱を持つ息をかける。一大イベントのクリスマスなんて結構あっという間なもので気づけばもう大晦日だ。もたもたしていたらすぐに年明けだなんて一年の早さにただ驚くしかない。というのはまあ、ただの言い訳だけど。
「豪炎寺」
振り向くとすでに鼻先や頬を少し赤く染めた円堂。
「ごめんな遅くなって」俺も今来たところだ、と言うと「そっか」と笑って俺に手を差し出す。
「ん、」
「あれ、お前手袋してねーの」
「忘れた」
「あーらら。じゃ、はい」
左手につけていた手袋を脱がして俺の左手にはめる。わけがわからずその一連の動きを黙って見ていると円堂がにっと笑った。
「こうすんの、」俺の右手は何もつけていない円堂の左手に掴まれそのままポケットへ入れられた。
「こうすれば一緒だろ?寒くもないし」
自信満々な笑顔で俺を見上げてくる。ああもうあったかいなちくしょう。頷くと円堂は満足そうに歩き出した。
「よーっしゃ神社行こう!」
「ああ」
「豪炎寺は何お願いする?」
「俺は…」
これからもずっとお前といられますように。 なんて言ったら「ベター」って笑われるかな。まあ本気なんだけども。
「…内緒」
「なんだよそれ」
どっちにしろ笑われてしまった。苦笑いで返すと「でも俺も内緒」とポケットの中で俺の手を強く握って円堂は頬を指でかく。
「お願いなんてしなくても叶えられそうだし」
それもそうだな。今年最初の雪がやわらかく舞っている。