決勝戦その後
「なあ天馬くん」おれに向かって大きくボールを飛ばす。それをおれは土踏まずの横側で受け止めてまた相手に蹴り返す。
「なんですかっ?」
「サッカーは楽しいか?」
変なことを聞くんだなあこの人は。そんな分かりきったこと。「もちろんです!」と返すと安心したような嬉しそうな顔で「そうか」と言う。
「じゃああなたはサッカー楽しいですか?」
ちょっとした出来心で聞いてみた。答えはもちろん、「ああ。楽しい」ですよね!おれも嬉しくなって自然と笑顔になる。
ぽんぽんとボールを蹴り合う。それだけなのに、この人と通じ合えたような気がしてもっともっと、この人のことを知りたいと思う。好きな食べ物は何ですか?みたいなくだらないものとか、サッカーを始めた経緯とか。それはもうたくさん。
「おれ、あなたに出会えて…サッカーに出会えて良かったです」
あなたはいつもおれを救ってくれる。感謝したってしきれないよ。
「俺も君みたいな子に出会えて良かった」
「これからも一緒にサッカーやろうな」
「はいっ豪炎寺さん!」
やっぱりおれ、あなたが大好きです!