※事後



すやすやと隣で眠る吹雪先輩の寝顔を見つめながら雪村はそっとため息をついた。ああ、今日も形勢逆転できなかった。吹雪先輩に色々されるのは嫌じゃない。しかし雪村だって中学生とはいえ男。好きな相手なら自分で気持ちよくさせてみたいと思うのもまた正直な気持ちだった。経験で言えば雪村より吹雪先輩のほうがずっと上。恋人なんて肩書きを背負っていても結局、吹雪先輩は人生の先輩なのである。雪村は悔しかった。なんで自分は中学生のガキなんだろう。吹雪先輩は「歳なんか関係ないよ」と笑うのだろうが、雪村にとってこれは大問題だ。たった10年、されど10年。離れた歳の吹雪先輩がなんだか遠く感じて雪村はぴとりとその首筋にしがみついた。足を絡めて背中に手を回す。

「…雪村…?」
吹雪先輩が目を覚まして少し不安そうな声色で雪村のつむじに声をかける。行為後のせいか身体はお互いまだ熱を持ったままだ。考えちゃダメだ考えちゃダメだ考えちゃダメだ。

「先輩どこにもいかないでくださいねずっとずっと俺が愛し続けてあげるんで絶対俺からはなれていかないでくださいね絶対」

額を擦り付けながらくぐもった声でまくし立てると上で「何言ってんのこの子は」と呆れたような笑っているような吹雪先輩が頭を撫でてきた。完全に子供扱いだったがもういいや、それでも。悔しいけど悔しすぎるけど子供は子供なりに頑張ろう。

「もっかいしたいです、先輩」




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みやこ誕生日おめでとう!



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