「よし狩屋くん、えっちしようか」
「ちょっと意味が分かんない」

 急に笑顔になったと思ったら何を言い出すんだコイツ頭おかしいんじゃねーの。久しぶりに練習が丸一日休みだったから病室に足を運んでみたら何を言い出すんだ。
時刻は昼のだいたい2時くらい。昼ごはんを一緒に食べて(もちろん俺はコンビニ弁当で太陽くんは病院食)だらだら喋りながらベッドに二人でごろごろしていた。特にすることもなくてテレビを観る気もしなくてかと言って喋るネタは尽きてしまったし。そういう中唐突に「えっちしようか」なんて言い出すんだ、やっぱコイツ頭おかしい。

「なんで」
「狩屋くんは僕とそういうことしたくないの?」
「いやいやいや、つかここ病院だろ」
「大丈夫だよ。今の時間はこの階、あんまり人通らないんだ」
自信満々な笑顔で言い放つ。別に嫌ってわけじゃないけどやっぱり場所が場所だしその前に初めてだし、つーか雰囲気考えろよなんなんだよ。

「狩屋くんはしたくないの?」
「だから、そういうわけじゃ」
「だってそうじゃないか。何で逃げるの?」

身体が勝手に後ずさってたんだ俺は悪くない。ベッドから抜け出そうとするとガッチリ腰をホールドされその場から動けなくされてしまった。

「捕まえた」
「離せよ」
「やだよーだ。だって離したら逃げるだろ?」
「当たり前じゃん」
「ふーん」

「僕のこと嫌い?」耳に直接息を吹き込まれるみたいに囁かれて全身が粟立つ。背筋がぞくっとしてなんだこれ気持ち悪い。黙りこくった俺に追い討ちをかけるようにまた太陽くんが囁いた。

「僕は大好きな狩屋くんとえっちしたいな」

 横目で見たその顔は純粋そうに笑っててそれが無意識という名の罠だと知りつつも真っ昼間から盛ってんじゃねーよとかぐちぐち言いながらベッドの上で太陽くんに向き合う俺ってまだまだこいつに甘いな。げろ甘だ。



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -