「実は今日、剣城に言わねばならないことがあるのです」
「へえ」
「びっくりしないでね」
「ああ」
「実はね、僕に残された時間はあと一週間なんだって」
「は」
「だから、僕の余命はあと一週間。あと一週間しか生きられないんだってさ」
「…はあ、あ?」
「びっくりしないでねって言ったじゃん」
「……エイプリルフールは今日じゃねえぞ」
「冗談でこんなこと言わないよ。現実なんだ」
「いつから、」
「え?」
「いつから分かってたんだ」
「…半年前くらい、かなあ」
「は、ん年…前…」
「今まで黙っててごめんね。本当は言わなきゃって思ってた。…ずっと思ってた。明日には、明日にはって、でも、剣城を思い出したら、だめなんだ。言い出せなかった。一番に伝えたかったのに、一番知ってほしくなかった。この事を知ったら剣城はどう思うんだろうってすごく怖かった。心配かけたくない、とか、傷ついてほしくない、とか、でもそんなの自分のため。自分が傷つくのが怖いから。もしも剣城が僕から離れていってしまったらって怖くて、恋人を信じられないなんて最低だよね、自分なんか大嫌いだ。ごめん剣城、本当にごめん」
「いい、謝らないでいいから」
「不躾なお願いだけど、頭撫でてほしいな」
「よしよし、ずっとつらかったよな、ごめんな、俺が、しっかりしてないから」
「違う!違う違う剣城のせいじゃない剣城のせいじゃなくて悪いのは僕、全部僕が悪いんだ」
「雨宮、」
「僕だ…僕が悪いんだきっと神様を怒らせてしまったんだ、だから神様は僕を選んだんだ病気に僕を選ばせたんだ僕が全部悪いんだ全部僕のせいだ!」

ベッドに拳を叩き付けながら悲痛に叫ぶ雨宮の頭を黙って撫で続ける他やってやれることはないという現実に吐き気がした。
雨宮をこんなにも苦しめる神様とやらを俺は一生恨みます。


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