きっかけはもう思い出せない。最初はただお互いに傷を舐めあっていて気がついたらこんな関係になってた、それだけだ。隣で寝息を立てる横顔を見る。まつげ長いなこいつ。吹雪センパイは元気にしているだろうか。体調を崩したりしていないだろうか。あの頃なら居ても立ってもいられずにすぐあの人の後を追っかけていたかもしれない。もしかしたらまた恨んでいたかもしれない。けど今自分がここでこうしていられるのはまつげの長い嫌味が得意なこいつが横にいてくれているからだろう。俺はひとりぼっちだ。こいつもひとりぼっちだったと言っていた。過去形にしていたあたり、今はひとりぼっちじゃないらしい。別にそれでもいいや。俺はひとりぼっちだった。でもこいつが一緒にいてくれる限り俺もひとりぼっちじゃない。
「狩屋」
きっとこれからも、俺はひとりぼっちじゃない。「ありがとう」なんて言ってやらないけど。


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