あれから10年経った彼は背もすらりと高くなってますます綺麗になった。女の私が男の人を綺麗って褒めるだなんて皮肉よね。「冬花も綺麗になったじゃないか」お世辞にしか聞こえないわ残念でしたー。そう言っても亜風炉くんはたいして気にした様子もなく仕事中とは違って結んでいない私の髪をいじって遊び始める。
「本当に綺麗だよ」
ばかね、今のあなたからそんな言葉聞いてもなんとも思わないわよ。亜風炉くんの細長い指が髪をすくようにして頭を撫でる。
「冬花、こっち向いて」
いや。絶対にいや。だって、顔を上げたら視界にあなたが、指輪の嵌まったあなたの薬指が視界に入っちゃうかもしれないじゃない。


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テーマ「人外ファンタジー」
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