どう考えてもあんたが嫌いで | ナノ





好きだとか嫌いだとかそんなものはどうでもよかった。自分には関係のないことだと思ったし、この人生でそこまで執着するような人になんか会わなかったからだ。まだ、自分の人生は始まったばかりだけど、一生そんな人には会えない気がしてならなかった。もうどうにでもしてくれと流れに身を任せてふらふらしていた。

それでも苦手な人はいるわけで、今にも殴りたい衝動に駆られる人がいる。話したくもないからこその単独行動だと言うのに、意味がない気がした。

「財前、何してん?…先輩に対して無視はないやろー、なあなあ!ぜんざい奢ってやるで?返事くらいしろっちゅーねん!」

うるさい。この人は相手に無視されているのをわかっていて話し掛けてくるからむかつく。俺に何を求めてるんや。それに、ぜんざいが大好物なことも知っとる訳で、餌付けしてくる。それに乗ってまう俺もしょうもないけど先輩の買ってくれるぜんざいは自分の小遣いではあまり買えない高くて美味しいものというより甘味処で食べるんや、やから俺は先輩の誘いには断らない。

「じゃ、放課後にぜんざいよろしくお願いします、忍足先輩」

「お、返事したと思ったらそれかいな…ま、ええけど。それじゃ、放課後財前の教室に行くから待っとけや」

はいと返事をして授業の準備に取り掛かるため教室に戻る。廊下まで呼び出しといてそないな話やったんかとは思うが、ぜんざいが食べれるんなら、まあいいかと珍しくポジティブに考えてみる。

「はやく、放課後にならへんかな。」

そんなことを考えながら校庭の方に目を向けると先輩がサッカーをしていた。体育なんやなーと能天気にも思っていれば、先生が近くに来ていて、

「おー、天才財前くんは余裕なんやな、それじゃこれを解けや。忍足になついているからって授業までも見るんは、やめてーな。」

「はっ、何をいうてんすか。誰もなついとらん。それにや、こんな問題小学生でも解けるレベルちゃうんすか?」

自分にとって嫌なことを言われてしまい普段よりか刺々しくなってもうた。まあ、これくらいで成績なんてさがらへんやろと思い、また校庭に顔を向けて先輩をみる。そうすれば、俺の視線に気付いたんかざいぜーんと笑いながら呼び掛けてきた先輩がいたので口パクで死ねとだけ返してやった。

嫌いな先輩なのにどうして気になるんやろ。

あー、わからへん。




どう考えてもあんたが嫌いで/1007
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テーマ「人外ファンタジー」
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