悩みなさい | ナノ





キスしたいのかと思い自分の唇を先輩の唇にくっ付けてみれば、あたふたしたあげくに、なにするんや!て言い自慢の足で逃げてしまった。
なんや、キスしたいからずっと何も言わずに見とったかと思ったんに。よお、わからん先輩やなと呟きさっきまで居った部室から教室に戻ろうとする。別に一氏先輩らみたいなホモという訳でもないし、そんなん普通にきもいやろと思う訳なんやけど、謙也さんの顔を見ているうちにキスしとうなっていた。多分やけど、熱い瞳で見てくるんがいけへんのや。逃げるくらいなら、俺に欲情していますなんて顔せえへんで下さい。

「なんや、財前。謙也に逃げられたんやな」

嫌味な物言いしかしいへん、一氏先輩が悪趣味すぎる覗きをしてたことに嫌悪感を持ったがこの人に何を言っても無駄だと諦めていた。

「…そうみたいですわ、それにしても一氏先輩は覗き見っすか」

「誰が好きで財前と謙也のキスシーン見なきゃならんねん!きしょいやろ、やめろや」

そないに全力で拒否せえへんでも、とは思ったが一氏先輩らのキスシーンを見てしまった自分を想像して見るときしょいきもいうざいしねさぶいぼ級やと思ってしまったので先輩の言葉はまあまあ優しいんやなと思う。

「じゃあ、俺が一氏先輩らのキスシーンに出会したときには、一氏先輩におもいっきり雑巾やら金太郎やら白石先輩をぶつけて見せますわ、」

「俺と小春はそんな不埒なことはせえへんし、財前みたいにあれこれ構わずにキスせえへんから安心しろや。つーことで、小春のとこ行ってくるわ」

言いたいことだけを言って帰ろうとする一氏先輩は自分勝手やなと思うが、自分の世界を持っている人は嫌いやないのでさようならとだけ言っておく。

「謙也さん、どうしたんかな」

きっと、白石部長のところに泣き付いているに違いないなと思ったので、三年二組へと向かった。

はあ、なんて言えば普段通りにしてくれるんやろ。




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