この関係に終止符をうつときが近づいてきた気がしてならなかった。
自分の感情に気がついてしまったからなのかもしれないということは理解出来ていた。それでもこの感情を相手に言うタイミングもそれで傷ついてしまう自分も全てが嫌だったのかもしれない。
「ん、あっ…や、」
今、自分の下にいるのは財前である。自分の後輩でテニス部レギュラー、自ら腰を振り淫らに俺を誘う。もう少し甘い関係を築き上げていきたかったんや。キスさえも出来ない抱き締めることも出来ない自分に益々苛立ちを感じるばかりだった。 俺がすることと言えば自分の欲望のまま腰を振り、有り余っている性欲を無くすため。
「嫌やないやろ。 財前は、こうされるの大好きやん」
いやいや首を振りながらも財前の自身は膨らんできている。
あーあ、淫乱な子になってもうたなと他人事のように思っていた。無論、他人なのだけれど。キスをねだってくる財前を見ると言いたくなるんや、好きやって。
「け、んや、さっ!も、いいから…いれ、ろっ」
財前の先輩だと思わない口調も可愛らしく聞こえる。多分、あいつなりの抵抗なのだともわかるようになった。途端に悲しくもなったがこの関係を作ってしまったのは俺なのでぐちぐちとは言えんかった。
「あのさあ、財前。そないに相手を挑発するような物言いは自分を苦しめるだけやで…て聞いてへんか。」
一人呟くが意識が朦朧としている財前には届いていない。挿れられるときが一番、何も耳に入ってこない財前に好きやというのもこの行為にはお決まりで、今日もまた言う。
「好きやで…財前、」
ふと財前の体がびくっと動いた気もしたが自分の勘違いやろうなと思い腰を揺らす。
ああ、なんて報われない恋なんやろうか /0907