豹変嫉妬ひたすらに | ナノ






怒ることなんてめったにない謙也。ましてや、暴力なんて振るうことなんかなかった。そんな謙也が大きな声を出して、財前の頬を平手打ちする。ばっちーんと思い切り痛そうな音が部室に響き渡り、周りにいたレギュラー陣も話を止め部室から出ていってしまうほどにこの状況は、酷かった。

「す…すんません。け、謙也さん怒らへんで下さいっ」

普段の態度からは想像も出来ないほどに財前は怯えきっていた。もう止めて下さい痛いです止めて下さいと幾度も繰り返すが頭に血が昇っている人間を停止出来るほどの技術は持ち合わせていない。だんだん謙也の行為もエスカレートしていき、今や財前は裸だった。裸になったことで地肌に直接叩かれる、先ほどまで少しでも防いでくれていた財前のレギュラージャージは破かれている。

「光、尻上げや」

謙也が口を開いたことに財前は助かるかと思ったが、今の財前を助ける言葉なんぞを口には出さず、尻を上げろという命令のみだった。嫌だ嫌だと泣けば、謙也の足は財前の自身へといき思い切り踏み潰す。ぐりぐりと地面にめり込ませるように強くやられる。

「っだい…痛い痛い…よおすんません…すんません!」

何に対して謙也が怒っているのかもわからない財前は、ひたすら謝り続ける。

「何や光、こんなことされとるのに勃っとるで?変態」

「ちゃいますちゃいます…勃ってなんかいないっすわ、もうめり込ませ、るの止めてくだ、っはい…」

舌ったらずになっているなんて今の財前には考えている余裕はなく、もうすぐ限界がきていることだって理解していた。もっと踏んで下さいと自分自身が思っている。要求しているこんな思考は、嫌やったそんな自分を財前は知らなかった。こんなん本当の変態やんと自虐的なことを一言心の中で呟く財前を謙也は、何も映していない瞳で静かに見ていた。財前の考えを肯定させるような瞳で。

「いや、謙也さんっ…!もっ、あああっ」

「淫乱な光は嫌いやないけど、白石なんかにキスを許すんやないで」

ふと、財前は謙也さんの呟きを意識が朦朧とするなか、聞いていた。

(何や、ヘタレの癖して嫉妬っすか…ださいっすわ)




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最中の続きは次回更新予定
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