MEMO

 

[美人コンテスト後 捏造]



太陽に手を翳せば透けて見えるのではないかと思うほど
薄ぼんやりとした存在。それは記憶の問題だけでなく、
自身が明治の世に在るべき人間ではないとはっきり自覚しているからだ。
そんな自分でも受け入れてくれる人がいて
この先も共にいたいと望んでくれる。それがどんなに有り難いことか。

苦労することもあったけれど、決してそれだけでなくて。
現代に帰ることを躊躇うほどにまで想いを募らせてしまった。
けれど、どんな言葉を用いても断ち切らなければいけないと
薄らと残っている本来の自分が叱咤してくるから、
気持ちを教えてほしいと愛していると言ってくれた鴎外に背を向けて、
逃げ出そうとした。


「芽衣っ!」


夜の街へ走り出そうとしたその身体は
焦りを含んだ声と懸命に伸ばされた手に掴まってしまい
次の瞬間には、胸の中に閉じ込められていた。
一度、その温もりを感じてしまったら、抵抗できなくなる。


「逃がさないよ」





(´・ω・`)

20151218

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