(ルクティアSS3つ)



@星に願いを、月に祈りを

どうやっても叶わない事柄を、諦めきれない。
それはずっとあなたの事だと思っていた。

私は自分で言うのも何だけれど、理性を優先しようとする方だから、叶わないと分かったのならどうにか心に整理をつけて、諦めるようにしていた。自分の感情くらいなら幾らだって縛り付ける事はできる。
兄さんの事も、教官の事も、人を殺す事もそう。だから私はあなたのように悪夢に魘されてしまうなんていうのは滅多にないし、悔しさに地団駄を踏むなんていうのも、ない。

羨ましいと思う事はなかった。
叶わない事を思い続けるのは、きっと辛い事だから。私がこんな風になるまでも、辛かったように思う。記憶はどうしたって薄らいでいってしまうから、覚えている以上に辛い事のはず。

―――そう、思っていたのよ。
心の内で小さく呟いてみた。

ふとした時にあなたの顔が浮かぶのは、諦められないからでしょう。
ルーク。
こんな事思うなんていけないし、それに、きっとあなたへの侮辱になる。けれどずっと思ってしまう、諦められずにいてしまう。

いきかえって。
もう一度あいたいの、ルーク。







Aあまくほろ苦い思い出

俺のこの日記は、一体どうしよう。
パラパラとめくられていくページをぼんやりと見ながら、考える。

愚痴だって泣き言だって本音だって、みんな書き込まれている。結局未だに書き続けて、多分俺が死ぬ前の日に途切れるだろう、この分厚い日記帳。
こんな恥ずかしいの、ジェイドだけには見られたくないな。死んだ後だとしてもぜってー嫌だ。それだけは御免、ってやつ。

そんな事を考えながら日記に目を通していると、懐かしいなあ、なんて少し可笑しくなる。
ふと目に入ったのは、ティアって書いてある文字。その日はずっとティアって文字が書かれてあって、恥ずかしい。やっぱり誰にも見せられない。

この時は。
楽しかったんだな。


ずくりと疼く胸に、苦く笑った。







Bすき、きらい、すき
(ED後ルークが帰ってきて半年くらい過ぎたif)



「きらいって、ティアは言わないな」
「そうかしら。…そうね、言った事、ないかも」
「きらいって言うより、直せないのって感じでさ」
「……」
「でも実際は、前の俺、きらいだっただろ」
「きらいと言うよりは」
「うん?」
「……きらいって言うより」
「…ティアは真面目だからなあ」
「?」
「感情より先に理性みたいなので、昔の俺を、どうしようもないって思ってたんじゃないかな」
「どうしようもないって」
「本当の事だろ?」
「…………」
「俺だったら」
「きらい」
「…へっ」
「きらいだって思うわ」
「え、あの、ティア?」
「確かにそうだったとして、それを忘れないようにしているにしても、あなたのそれは自虐でしかない」
「、」
「認めているのは分かっている。だからそこまで、もう見せ付けないで。そういう所、きらいよ」
「……きらいって言うなよ」
「だ、だってあなたが」
「そりゃちょっと言って欲しかったよティアが俺に感情向けるって事だしさあ。けど何で今の俺がきらいってなるんだよ」
「………」
「…お、俺は、ティアの説教っぽいの、きらい」
「…あなたねえ」
「でも、……好きだ」
「っえ、な、!」
「すきだよ。すきできらいで、好きだ」







きみとぼく

(120403)
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