尾鉢没

2012/05/21 19:20


「お嫁さんにならない?」

いつも通りの何ら変わりのない声音に、鉢屋は一瞬の間を置いてから顔を上げた。頬杖をつきながら書物を見ていたし、尾浜のその緩い声音にもうまく反応できずに、二、三度瞬きをする。視界は相変わらず明瞭だ。向かいに両手で頬を覆う、やわらかく目を細める尾浜が居る。
お嫁さん?お嫁さんか。鉢屋は心内で呟いた。そうして首を振ってから、返す。

「それは、女しかなれない」




鉢屋を泣かせたかっただけでござる



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