尾鉢(尾)*R15
2012/04/29 12:51
*気持ちR15
*でも多分深読みしないと意味分からない文章
「……は…、私?」
唖然としたら勘右衛門がぱちりと大きくまん丸な瞳を瞬かせた。
奴のつるつるした、上で結われた黒髪が重力に従って垂れてきて、私の頬に触れている。
重力に従って、という事は。
勘右衛門が下を向いているという事で。
それが私の頬にかかるという事は。
私が勘右衛門の、下に居るという事。
押し倒されているのは、私だった。
「…お前じゃないのか」
普通は。
呆然としたまま呟くと、きょとんとしていた勘右衛門はああと呑気に声を上げる。
だって愛嬌があるっていうならこいつの方だし、大食らいだからか頬が柔らかいのもこいつだ。食い過ぎだと説教をしても意味はなかった。
いつの間にかやら眉を寄せて勘右衛門を見ていたら、同じように私を見つめていたそいつが、ふふと笑った。
「鉢屋が嫌なら、俺が下でいっか」
「…え、ああ、」
なんだ。それ。
お前、躊躇しないのか。
男同士だぞ。
言いたい事が見付からない内に、勘右衛門はやわらかく微笑んだまま続ける。
「これでもお前が離れない為に、何でもしようって、必死なんだって」
「…は」
そう言って、私の上から退くそいつの胸元を。
「鉢屋?」
お前。
ふざけるな。
口を噛んで睨み上げると、勘右衛門は少し困惑したような、諦めたような、そんな色を瞳に乗せた。
ふざけるな。
「お前ばかりが」
喧嘩でも売っているみたいに、胸ぐらを掴む自分が、何だかおかしかった。
「お前ばかりが、好きだと思うなよ」
まん丸な瞳が、零れ落ちそうなほど見開かれるのを見て、笑う。
私が何を思うかなんて分からない癖に、勝手に決め付けるそれは、本当に気に食わない。
「鉢屋」
「何だ」
「怖かったら代わるからな」
「ば勘右衛門にこの役がこなせるかな」
「……鉢屋」
「…何だ」
「手、握ってよう」
「……ああ」
好きだよ、そう言って微笑みが降ってきた。
―――――――
はずかしぬ
露骨な表現なんてできぬがこういう話題を書いてみたくなって
すいません引かないで
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