海賊京マサパロ没

2012/04/16 20:24

大体の私設定→敵キャプ剣城、部下シード、マサキはフリーダム下っ端、下っ端中ではリーダー格、注目されてなかったマサキが剣城助けてラブロマンス(笑)、倉間情報屋、南沢男娼的スパイ、浜野殺人鬼、速水航海士、幽霊船の亡霊シュウ、円堂さん伝説の大海賊(がいいな)





波面に浮かぶ月はゆらゆらと揺れて、少しだけ照り返ったようなそれが面白い。そのまま顔を上げると、海に浮かぶのとは違って、ちょっと眩しいくらいの月。

町には人の暮らす上で欠かせない灯りがあるから、窓や街灯から溢れる光にまみれて、月はそんなに目立たない。だから町から離れた船の上、ぽつねんとしたこの海賊生活を、俺は大概気に入っている。
真っ暗な中で頼りないランプの明かり、雲から抜け出して俺たちを照らす月と星。星も好きだ、俺の育て親のような人が好きだった。海賊なのに洒落た双眼鏡を離せないのは、そのせい。星を見る以外にだって使えるけど、俺にとっては夜空を眺める為の道具だ。

「―――狩屋」

背後からかかってきた低い声に、振り返らないまま手をひらひらさせる。
下っ端の俺が敵さん海賊のキャプテンにぞんざいな扱いしていいのって話だけど、本人は気にしてないらしいから、俺もこの態度を改めるつもりはない。

「剣城くんとこもこの島に船留めるの?」
「ああ、他の奴らは船の上で騒いでる」
「俺の方も」

そこでようやく振り返って、俺が腰掛けていた岩石から立ち上がる。ざっと見るけれど、やっぱり銃と剣は持ってきてる。まあ当然か、薄く笑うと剣城くんの眉が寄る。


町から離れた砂浜には、明かりなんか月と星だけのかすかなもん。ランプを一応岩の上に置いてあるけど、頼りないったらない。
ざざあ、ざざあ、静かな波の音。普段はこの波の上で昼夜過ごしているもんだから、大人しいもんだなあと変に思う。船で旅する俺たちには容赦ないってのに。地面に巡り会う時には、こうやって穏やかに細波になっている。

ざくざく歩く音がして、剣城くんは俺の前で仏頂面を晒す。あの時と同じ、俺は月を背にして見上げてる。どんな表情をしたって、こいつの目には入らない。それが何だかかわいそうでもあって、ザマアミロとも思う。
俺は結局剣城くんが好きなのか嫌いなのか。剣城くんの表情は、なんとなく、つらそうに見える。どうせ俺の願望だろうけと、その目が揺らぐのはちょっとした快感だった。





―――――
うん。すません。



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