▼ 2
コツコツと自身の歩く音だけが聞こえる。
本当に誰もいない。
罠という訳でもなさそう。
その先程の男が云っていた異能力者三人がそれほど強力ということか。
どのような異能だ…?ある程度予想していかないと、咄嗟の判断が出来かねる。
太宰さんのように異能無効化系統なのか…
それともQのように精神操作系統なのか…
身体強化、治癒…
なにがきても怖くはないけど、精神操作系統となるとなかなか難しくなりそう。
「ここか」
色々考えているうちに着いてしまったようだ。
行くしかない。
扉を開けると屋根に穴が開いているのか、月の光が差し込んでいた。
中心には、男性が二人と周りに五人…一人足りない…。
最終兵器って事?
私がわざとらしくヒールのソール部分を鳴らすように地面に打ち付けた。
その音が鳴ると同時に相手全員の目がこちらを向く。
その中のきっと雑魚であろう男が笑った。
「オイオイ双黒さんってのはお前じゃねぇダロ?男二人だって話だ。まさか双黒さんは怖くて逃げ出したのかァ?」
辺り一体の雑魚が笑った。
笑っていないのは、私と中心の男二名のみ。
だが、コケにされて黙っているわけにもいかない。
「真逆…こんな雑魚ばかりの現場、双黒に来させるわけないでしょう?私一人で十分です。」
そう発すると、顔が真っ赤になって武器を構えだす。
来る!そう思った時、中心の男性がやめろ。と声に出す。
すると、しぶしぶ武器を下ろす雑魚。
「部下の非礼お詫びします。私は、片原 健友と申します。」
「あら、真面な方もいらっしゃるのね。」
私が、ふふ。と笑うと相手もクスリと笑った。
「あなたは双黒ではない、そうですね?」
私は頷く、片原と名乗る男は顎に手を当て考えていた。
すると隣の男というか少年はつまらなさそうにしながら、片原に話しかけていた。
「ねー殺しちゃおーよー。ボスも双黒以外相手することないって言ってたじゃん」
前言撤回、少年?いいえ、糞餓鬼ね。
「駄目だよ、大津さん。双黒じゃないけど、相手は双黒の代わりに来たんだ。しかも単騎でね。私は手練れだと思うけど。」
まだ理知的な片原は大津という糞餓鬼を否めていた。
大津は、わかったーと心底厭そうな顔をしこちらに声を掛けた。」
「双黒の使い君。こんばんわ、僕は大津 春樹。今回はマフィアに用意して欲しい物があるんだ。」
そう云って大津という糞餓鬼はこちらに敵意のない笑みを浮かべた
prev / next