文豪ストレイドッグス2 | ナノ


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嗚呼、最悪最悪!本当に厭だ!

何故、私が双黒の振りなんてしなければならないのだろう。
それもこれも、全て諸悪の根源、太宰治と、低身長で偉そうな中原中也の所為で有る。
こっちの、抗争に間に合いそうにないから叶霧1人で向かわせろ?

ふざけないで欲しい、下っ端の私にだって仕事はある。
それがあの二人によって…嗚呼、思い返しただけで腹が立つ!

とはいえ、私はマフィア。
上司に逆らえば即刻死刑、行かないわけにもいかない。

逃げたと思われるのもそれはそれで癪だ。


それにしたって、あの太宰…。
何が『君が奥の手を使うまでには駆けつけるさ。』だ。


もうこうなったら、あの人達が来るまでに殲滅してしまおう。
うん、そうしよう。

叶霧はヤケになっていた。
だが、プライドの高い叶霧が敵前逃亡などするわけがないと、太宰の掌で踊らされている事など本人は全く知らないのである。



「わぁ…」
思ったより厚そうな鉄の扉
中也の能力借りてきて正解だったかも。


「じゃ、やりますか。」
使ったことない能力だけど概要は聞いてきた。
中也の能力は触れたものの重力のベクトルと強さを操ることができる。

この扉これだけ大きければ掛る重力も大きいはず。
私はそっと扉に振れる。


異能力:『汚れつちまつた悲しみに』

とりあえずは、この扉に掛る重力を0にした。
この扉だけは無重力という訳だ。

「えい。」
ポンと蹴ると、ゆっくりと扉が倒れた。
重力も掛からないから倒れる時の音が無い。
いいな、この能力。
そんな事を思いつつ、アジトに侵入する。


「それにしても人がいない。」

双黒が来るって連絡が来ていないとか?
それとも、双黒くらい何とかなると思っているのか
もしくは、罠…。

そう考えている時、後ろから銃を構える音が聞こえた。
それと同時に、私も振り返る。

男、一人。持っているのは連射式の短機関銃。
これで、双黒の二人を制圧できると思っているの?

短機関銃を持っている男は、ニヤと笑った。

「女一人で、何も持たずに来たのが運のツキだな、降参しな。」

また、三下っぽいセリフを吐くのね。
はぁ…とため息をついた。

「奥にいるのは能力者とでけぇ銃を持った奴らだ、行かない方が身のためだぜ。」
それにぽろぽろと話してくれるじゃない。

「何人だ。」
私は、アジトにいる人数を聞いた。

「8人、内3人が能力者だ。勝ち目はない」
おーおー馬鹿みたいに吐いてくれるわね、でももう必要ないかな。
能力の詳細くらいは聞いておきたかったけど、さすがに吐かないだろうし。

「そう、ありがとう。バイバイ。」
私は、男の頭を両手でつかみ潰した。



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