僕と君と道 早朝浜辺編
AM5時
もう少しで水平線に太陽が出そうだ。
さっきまで東の空は君の好きな
ブドウみたいだったのに。
そういえば君と出会って、もう6年
経つんだね。

僕は今、真珠が有名の海岸に来てる。
もちろん、今日から始まる
地元の大花火大会は見たくないから
ここにいるわけである。
君はそんな僕について来てくれた。

「なんで私ここにいるんだろう」
「お前が綺麗な日の出が見たいって言うからじゃん」
「そういうことじゃなくて・・・だから・・・来たのに・・・」

君の声は聴き取れなかったが
言いたいことは分かる気がする。

僕らはまだ付き合ってない。
出会いは中学だった。
僕も君も附属小学校からの持ち上がりでなく
外部生だったから、最初の頃は
緊張しててなにも覚えてない。
けど、僕は席替えで君の隣になったのを覚えてる。

「あれから6年かぁー」
「えっ?」

驚いた君はやっぱり可愛い。

「なんでもない。それより日が出てきたよ」
「わぁ、って驚くほどでもなかったね」
「そうだろうね。十代最後の夏としては不満?」
「そうだね!大人っぽくて、かっこいい人と見たら不満じゃなかったよ
「俺、大人っぽいじゃん、てか社会人だし」
「そう言っちゃうのが、大人っぽくないんだよねーカッコ良くもないし」
「だって、昔から俺、泥臭いことしかできないし」
「確かに、そうだったね」

そう言って爆笑する君はもっと可愛い。

「さて、そろそろ帰るか」
「そうだね、花火見たいし」
「花火は明日とあさってでいいだろ、ゆっくり帰ろうよ」
「確かにそうだね、ここまで強行軍だったし、ゆっくり帰って花火見ようね。あ、でも浴衣の準備もしなきゃだー」

けれどやっぱり君の破顔にはかなわないな
そんな顔されたら花火大会行きたくないって言えないし、浴衣姿を想像すると早く帰りたくなってきた。
バカだなぁ俺

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